&α
「うおっ。あちっ。あちちちち」
「ゆっくり食べないとだめよ」
「おいしい。おいしいなあ」
「ありがと」
「この前の空母のニュース。見た?」
「見た。爆発したらしいね」
「うん。君のシチューのおかげで」
「わたしのシチュー?」
「そう。君のシチューがいちばんだ」
「じゃあ、お鍋買って。指輪はいらないから」
「シェフだもんね。いいよ。結婚鍋。いくらのやつ?」
「土鍋。アタッチメント付の特注で、50万円がふたつ」
「えっ」
「買って?」
「あっ。あちっ。あちち。うん。わかった。100万ね」
「えっほんとに?」
「買うよ。何十億円もする空母やミサイルに比べたら、土鍋のほうが、よっぽど俺に利益があるよ。この前の死亡通知のミスもあって、仕事も成功扱いで報酬あるし」
「ありがと。たくさんシチュー作るね?」
「うれしいなそれは。あちち。おいしい」
「なんの仕事だったの?」
「寒中水泳一週間。俺は泳ぎが速いから一週間で陸にたどり着いたけど、俺の仕事仲間は今頃遭難して救助されてると思う」
「身体張る仕事なのね」
「そのぶん。君のシチューが。
鉄の塊、土鍋シチュー 春嵐 @aiot3110
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます