第2話 帰り道の彼

「あーもー!なんでいつもこんなことになっちゃうのよ!」


「いやいや、今回はたまたまだって、、な?wほら、一緒に会話できる時間が増えたじゃん、本当はうれしいんでしょ?w」


辻本は私を突っつく。私はそんな彼に呆れながらも内心はこんな会話も楽しいと思っている。私はこんな日常がずっと続いてくれたらなと思った。


「あーそういえばさ、学校の周りの風景を描くって言ってたじゃん、あれにさ、俺を入れてくんない?」


「は?」


私は少し動揺した。そして立ち止まった。いくら幼馴染でも急ではないかと思った。私は風景画が好きだからテーマにしただけであって人物に関しては書いたことがないためちょっと自信がなく、書きたいとも思わなかった。


「いや、私、人は書いたことないし、、、いくら幼馴染でもこれはいろんな意味で目立つんじゃないかしら?」


「まあそうだよなwwなんか急にこんな話してごめんな」


辻本は「それにしても今日は疲れたな」と言って話をそらそうとしている。しかし、そんな彼の表情はどこか悲しく、喪失感さえ感じさせる表情だった。そんな彼になんでこんなにも落ち込むのかとは思ったが本人にそれを聞くことではないと思い彼の話を聞いた。


少し歩いたころ、辻本と私はT字の交差点で行く道が違うためここでさよならになった。


「じゃあな本田。また明日な」


「はいはい、でも明日も一緒に登校するんでしょ?」


「そういえばそうだったなwじゃあ7時30分にここで集合な」


「分かったわ。また明日ね」


互いに手を振って違う道に進んだ。私は辻本の後ろ姿を無意識に見ていた。そしてはっとなって私は気づいた。


「そういえば、私明日集まりがあるから7時30分に集合はできないわ、、、、、まあ辻本だしいっか」


そして、辻本はくしゃみをした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私と辻本 @tachen2020

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ