私と辻本

@tachen2020

第1話 静かなひと時・・・

私はいつもと同じように風景画を描いていた、、、、、、


「おい本田!今日の放課後カラオケいかない?」


元気いっぱいに聞いてきたこの男子は辻本君。私の幼馴染だ。

私たちは幼稚園の時からずっと同じ学校に通っているし、家が近いということもあり暇なときは一緒に遊んできた。


「いや、いいや。まだ風景画描き終わってないし、、、」


そう辻本に返事した。いつも辻本は私に対して好意的に接してくれるのだが、私は思春期ということもあり昔のように関われないでいるのである。


「ちぇっ、まあ風景画終わってないならしょうがないな。しかもそれ作品展に応募するやつだろ?何描くのか決まったのか?」


辻本は返事を断られたのに明るく私に接してくれる。しかし、辻本は声が少し大きいため、静かな教室に声が響き渡る。ほかの部員からの視線が気になる。


「辻本、声が大きい!もうちょっと声落として!」


「ごめんごめんwで何かくのか決まったのか?」


声がさっきよりもかなり小さくなった。逆に聞こえにくいぐらいだ。


「まあ私は自然が好きだから学校の周りの風景を描こうかなって思ってるよ」


私はそう言った時には隣にいる辻本ではなく、窓の外の木や風に揺れている草、のどかに遊んでいる子供たちを見ていた。とてものどかで私の心はとても穏やかな気持ちになっていた。


「へえそうなんだ。まあここの風景は絵になるしみんなの心に響くかもな。」


辻本は私の意見を絶対に反対しない。なのでたまに正直に話してほしいと思うこともただある。しかし今回に関しては素直にうれしかった。それほどに私はここの風景が好きなのだ。


「まあうまく描けなかったら俺に聞いてくれよ!俺こういうのには自信があるから!」


「いやいや、そういって今までに何回失敗したと思ってんのよ。もうあなたにはアドバイスはもらわないことにしたの!」


私は口調を強く辻本に言った。辻本は苦笑した。そして辻本は「じゃあ正門で待ってるからな」と言ってどこか悲しげな表情をして教室を去った。


私は風景画を自分が思っている通りに描けなく最終下校時刻が近づいているため一旦中断した。正門に出ると辻本が待っていてくれていた。


「おいおい、どんだけ絵に夢中になってたんだしw俺結構待ったんだぞ!」


「なかなか思う通りに絵が描けなくて、、、、ちょっと考え込んでたの、、」


私は少しうつむいた。それを見た辻本は私を元気づけるためにこんな提案をしてきた。


「じゃあさ、気分転換に今日は電車で帰らない?バス乗りついで帰るのはめんどくさいっしょ?w」


そう言って辻本はポケットから切符を2枚取り出した。


「えっ、その切符って私の分まで買ってくれたの?」


「まあ幼馴染なんだしこれくらいは軽いもんよw」


私は少し顔の頬を赤らめた。そして辻本は私の手に小さな小さな切符を渡してくれた。

帰り道、私は辻本の横顔何回か見てしまう。夕日に照らされているほうの顔と照らされていない顔がきれいに見える。いつの間にか私は彼に好意を抱いていた。私自身はまだ気づいていないころに、、、、、、

しかし、感傷に浸っていた時、辻本が大きな声を出して驚いた。


「あっ!!この切符違う路線のやつ買っちゃった、、、、、」


「えっ、、、、、、」


「ごめんごめんwwやっぱ今日はバスで帰るかw」


私は言葉を失った、、、、、

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