平家最後の将、その最後に見るべき物とは

平家。
一度は王城で武士として最大級の栄華を手にしながらも、武人の心を忘れてついには源氏に駆逐された公家もどき。
そうした通俗的なイメージがついて回る歴史の敗者だが、そんな中にも煌めく将星がたしかに存在したことを、多くの人間が知らないだろう。

その代表格こそが、本作の主人公平知盛。
最初はまともな実戦経験のない彼ではあったが、反抗勢力や源氏との戦いで、大将としての才気を開花させていく。

しかし長者清盛の死を皮切りとして、過去の繁栄にしがみつく宗盛ら身内。暴威のまま押し寄せる木曽義仲と、その裏で確固たる地盤を鎌倉に築く源頼朝。そして戦の鬼才、義経の出現。

そうした多くの内憂外患を抱える知盛ら平家最後の名将たちの健闘も虚しく、時代は変革を迎えつつあった……

その栄枯必衰を的確かつ冷酷なまでに描く硬派な王道作ですが、だからこそ最後の最後に投じられる変化球に衝撃を受けること、疑いありません。

遠くにあれば音に聞け、近くに寄らば目にも見よ。
時流に抗い続けた悲劇のヒーロー、その最後の戦いと決断を……

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