風土記系競作企画「構」に参加しました

 ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、十一月に開催されていた風土記系ファンタジーを集めてらっしゃるヌーさんの風土記系競作企画「構」に参加しました。


【企画概要】

http://still-in-noise.a.la9.jp/fudoki/kikaku/2024_01_kamae/kikaku.html


 わりと今年の早い段階でTwitter改めXで企画の要項を見ていた気はするのですが、創作に関して色々あったり実生活が忙しかったりして、今回は参加できないかなあと思っていたのですが、ふらりと綿野明さんの参加作『境工』( https://kakuyomu.jp/works/16818093078708285682 )を読んだところ、お、おもしろ……!!? となり、続けて園田樹乃さんの『甘い海』( https://kakuyomu.jp/works/16818093080714466143 )を読んで、あーファンタジーってやっぱりいいなあとなって、ちょうどその時書いていたファンタジーの前日譚ならばいけるのでは? と思い立って書いたのがこちらです。 


『やがて花と散るとも』

 https://kakuyomu.jp/works/16818093088340435497


 主催のヌーさんが丁寧に読んでくださり、感想祭りと題してBlueskyで読書実況してくださったのがこちら。


 https://bsky.app/profile/fudokift.bsky.social/post/3lb2falembk2t


 物語の世界観を深く、さらには登場人物たちの想いにも丁寧に寄り添ってくださって本当に見ているこちらも嬉しさでいっぱいでした。


 ということでせっかくなので少し振り返りというかあとがき的なものを書いてみようと思います。作品のネタバレを含みますので、できれば本編をお読みいただいてから進んでいただけますと幸いです。


 さて、まず本作を書くにあたって、前回の「調」の『北の深淵、その最奥に眠るもの』では企画趣旨に甘えてかなり投げっぱなしジャーマン(!?)なラストになってしまったので、今回は一万字である程度きちんとまとまった物語にしたいと考えました。

 で、ちょうどその頃とあるコンテストに向けて書いていたのが「社が失われてしまったが故に、自分の制御できない力が溢れて、関係者に祟りを及ぼしてしまうが故に、じゃあ社の再建費用を自分で稼ごうと決意した神様」と、その祟りの対象になる髭(いつものやつ)となぜかその神様が住む家に居候している高校生の日常ファンタジーでした。結局書ききれなかったのですが(上限一万字では無理っぽい)、その神様が社を失うに至った前日譚的なもを書いてみようと思い立ちました。


 風土記系ファンタジーということで、テーマの「構」は社について+もう一つをキーに書くことにしたのですが、唐突に社の説明が出てきてもなあ……ということで、主人公の青年が冒頭では「目がよく見えないために触って社の様子を調べている」という設定にしました。見えないといっても完全に見えないわけではなく、なんとなくぼんやり見える、にしたのは、全盲の人のイメージを描くのは難しいかなと思ったからでした。ただ、それも含めて、それなりに理由づけがでいて良かったかなと思っています。


 主人公のコウの名前は「構」の音から連想したものですね。純粋な若者で、でもその純粋さ故に、封じられていた神である千晶にとある覚悟をさせることになる、というのを軸に物語を作っていきました。

 実質三〜四日と短期間でしたが、文章も何度も練り直し、無駄だなと思ったところを削ったり、表現を変えてみたり……を繰り返しました。

 最終的に「読んだ時に気持ちのいいリズム」を心がけたので、ここしばらく書いていたものとは少し違う雰囲気に仕上がったかなと。文章は自分ではここしばらくでは一番よく書けたかなあと自画自賛していたり。まあ自分が書いたものが好きじゃないわけがないだろうなとは思うのですが。


 まずキャッチコピーを決めて、そこに至る過程をどう描くか。普段はあまり構成を考えずに書いてしまうのですが、今回は出会いの「社」、コウと千晶が縁を深める「供」、そして最後に彼らの覚悟を表す「構」という三話でわりとうまくまとめられたかなと。元々がその後の物語ありきのお話でもあるので、若干やっぱり投げっぱなしな感はありつつ……。


 ちなみに社の描写は風水の四神相応をベースに、あえて架空のあれこれを取り入れています。風土記系ファンタジーと名乗るには、まだまだ修行が必要ですが、それでもやっぱりこういう設定を描いてくのは大変楽しかったです。ちなみに円池や皓刀といった架空の固有名詞は、あえてルビを振っていません。

 日本語の特性として音を表現する文字(ひらがなとカタカナ)と意味を含む漢字という文字があるのがすごく好きで、たとえば円池を「まるいけ」と読むか「えんち」と読むかで印象もだいぶ変わってくると思うのですよね。

 なのでそのあたりは読者の方に委ねて好きな方——というかしっくりくる方で読んでいただきたいなと。ちなみに漢字をそのまま漢字として受け止めて音に変換しないひともいるようですね。読んでくださった方がどんなふうに読んでいたのか、教えていただけたら嬉しいです。


 また、ちょうど少し前に海外に行く機会があって、そこで訪れた寺院や、日常に宗教が溶け込んでいる様子がとても印象的だったので、その辺りも意識して描写に散りばめています。その辺りはヌーさんの感想祭のリプライで語ってみたりしているので、もしご興味がある方がいらしたら。


 参加されていた全十八作、どれも世界観も登場人物たちも個性的で、物語そのものを楽しもう、という雰囲気があって大変楽しく参加させていただきました。全作読んだ感想をこちらのツリーに繋げてあるのでご参考までに。


 創作に関してはいろいろあって沈みがちだったのですが、こちらの企画のおかげで物語を書いたり読んだりする楽しさを改めて実感できて気がつけば元気いっぱいに。主催のヌーさん、作者の方々、そして読んでくださった皆さまも本当にありがとうございました!


 ちなみに現在くれはさんのアドベントカレンダー企画( https://kakuyomu.jp/user_events/16818093089510314552 )に参加させていただいている下記作品で、その後と過去のこぼれ話的な連載をしているので、こちらもお時間ある時にでも覗いていただけたら嬉しいです。


 『花の在処は 〜アドベントカレンダー2024〜』

 https://kakuyomu.jp/works/16818093089529417492


 Day 11以降はコウ(を)観察(する)日記になっているのですが、思いの外書きやすくて私が一番楽しんでいるかもしれません。お祭り気分をぜひ皆さまも感じていただけましたら幸いです。


 最後に、綿野明さんとあさぎかなさんから素敵なFAとコラージュをいただいたのでご紹介です。


 綿野さんより千晶の肖像!

 https://bsky.app/profile/akiwatawata.bsky.social/post/3lb4muppt7k2q


 あさぎかなさんよりコラージュアート

 https://bsky.app/profile/asagikana1234.bsky.social/post/3lc5xcsmfok27


 お二人は異風構の他の作品にもたくさんFAを贈ってらっしゃるので、気になる方はぜひBlueskyの異風構のフィードを覗いてみてください。

 

 https://bsky.app/profile/fudokift.bsky.social/feed/kamae


 お二方、改めまして本当に素敵なFAをありがとうございました!


 ではでは。

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好きなもの、徒然 橘 紀里 @kiri_tachibana

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