第10話 伝令1347

  どうすればいい、二人は無事なのであろうか。僕は思うに、こいつはタナトスという男で間違いないだろう。しかしなぜ、今ここに来たのだろうか、、、。復讐?いやそれにしても、装備が薄すぎる。何か他の用があるのだろうか。とはいえ、グレイスさんは昨晩に、ここを出て以降まだ帰って来てはいない。だから、とりあえず現状を嘘偽りなく、話すことにした、、、。


 「すみません。 グレイスさんは今不在です。なにか用がございましたら、僕からお伝えいたしますが。」


 「いや。すまない。この用は極秘でな。子供に教えれるほど安いものじゃないんだ。では、これをグレイスに渡しておいてもらいたい、、。」


 男はそういうと、四つ折りの紙を渡してきた。


 「頼んだぞ少年。お前に、このフランス王国の希望を託したも同然であることをよく理解してくれ。」


 男は僕にこのことが責任重大であることを伝えて、この場を去っていった。

 フランス王国の現状は非常に大変な状態ということは理解できた。ところで、二人の安否を確認するべく、二人の向かった場所へ行く。

 すると、二人は倒れていた。


 「ドレイク!!! アメーネ!!!」


 俺はドレイクとアメーネの脈と呼吸の確認する、、、。すると、特に以上はなかった。恐らく、気を失っているだけだろう。一安心して、二人をマーザーのところへ運んだ。


 「マーザー!」

 

 マーザーはこちらの異変に気づき、急いで駆けつけてくれた。


 「なにがあったんだい。」


 「多分二人はタナトスという男と接触した。」


 「タナトスとかい?。本当にあのタナトスなのかい?」


 マーザーはタナトスについてなにか知っているようであった。マーザーは少しの動揺を見せたがすぐに二人を暖炉のそばへ寝かせた。そして、マーザーは再び揺り椅子に深く座り込む。


 「マーザー、タナトスという男についてなにか知っているのですか?」

 

 「あぁ、そいつは私の子だよ。名前は"ノルディック=ラインハート"。王族関係の暗殺者に両親が殺されて15年前に、私が養子として引き取った。グレイスも私が預かった。タナトスもグレイスも血の繋がりはなかったが、いつも兄弟のようにここで生活をしていたよ。素直じゃない性格だったが自分より年下の子供にパンを分けてあげたりする優しい男だった。しかし、あいつは私たちに何も言わずにここを出ていってしまった、、、。 アンタはタナトスと話したのかい?」


 「話っていう話しはしてないですが、紙、、いや特になにもなかったです。」


 マーザーはこちらに眉間にさらに皺を寄せこちらを睨んでいた。

 紙についてタナトスという男に極秘やら、フランス王国の希望を託したやらかなりの重圧をかけられていたので、万一を考えてそう簡単に話し出せるものでも無かった。そして、とりあえずこの場から立ち去りたかったため、再び仕事に戻ろうとしたその時だった。

 

 サラッ


 四つ折りの紙を落としてしまった!!しかし、勘の鋭いマーザーはこちらに銃を向け、声を上げて僕に言った。


 「コラッ糞ガキ! 私に隠しごとしようとは生意気なガキだねぇ。 そこを動くんじゃないよ。もし、一歩でも動けば今日がお前の命日になるよ。」


 マーザーは落ちた紙を拾って確認した。そして、マーザーは机の上に紙を置き、急に走ってどこかへと行ってしまった。

 僕はマーザーがいなくなったことを確認した上でその紙に書いてあるものを確認した。そこには変わった文字で書かれてあった。"1347暗殺依頼、明日の朝、ヴェルサイユ宮殿にて会議を行う。"1347?と疑問に思ったが、あのフランス王国が危険視するほどの何者かが、動き出したことが分かった。

 

 




 


 

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平和的殺人主義 kuroodin @kuroodin

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