第9話 謎の訪問者
遠くからドレイクの声が聞こえた、、、。
「起きろ ルーカス」
ぼんやりとした視界が徐々に、はっきりとした視界になっていく、そして、ドレイクの声も比例して近づいてくる、、、。
「起きろ! ルーカス!!!」
反射的に僕はベッドから飛び出す。
昨日の疲れもあり、かなり熟睡していたようであった。そして、周りの子たちの姿はもう無かった。
「ドレイク!今何時??」
「もう、とっくに、5時は過ぎてるよ。」
そのドレイクの一言で、絶望に浸った。そして、瞬時に寝起きの頭をフル稼働させて、集合に遅れた言い訳を試行錯誤しながら考える。そして、頭の中にたくさんの言い訳を創ることができた。
腹痛に襲われました、、、違う。気分が悪かった、、、違う。時計が壊れていた、、、いや違う。この状況は打破するため、熟考してたくさんの言い訳を考えたが、いかんせん僕は嘘をつくことができないのが性分だったので、諦めて素直に言うことにした。
「ドレイク、アメーネ、迷惑かけてほんとごめん。僕から僕たちが集合に遅れたことをマーザーに説明するよ。」
「いや、謝ることはないぜ。 だって俺たちもさっき起きたばかりだからな。」
アメーネも後ろで小振りに何度も頷く。
「じゃあ、急いで集合場所に行こっか」
僕たちは走って階段を駆け上がり、昨日といた場所へ向かった。
そこには、マーザー一人が揺り椅子に座って編み物をしていた。そして、僕たちが部屋に入ってくるのをマーザーは、心臓を突き破るほどの鋭い目つきでこちらを目視した。僕たちはその間、無意識に足を止め、冷や汗を大量にかき、息をすることさえ許されなかった。
マーザーは再び編み物をし始めた。僕とドレイクは膝に手を当て、溜め込み苦しくなった空気を吐き出した。それから僕は息を整えてマーザーのところへ行った。
「マーザーごめんなさい。僕は指示された、集合時間に集まることができませんでした。」
「... 」
マーザーは黙々と編み物を続ける。そして、少し時間をあけて、マーザーは重そうな口を開ける、、、。
「この世で一番恐ろしいものを知ってるかい。
戦争、欲望、死、 そんな甘いもんじゃない。この世で一番恐ろしいものは"無関心"だ。お前は家族、友達以外の"死"に涙を流したことはあるかい?自分が他人に関心をもたないことは、そいつはもう既に死んでいるも同然。お前が私にこうして、平気に集合に遅れるバカ野郎と認知されることでお前は生きることができる。例えお前が私より先に死んだとしても、お前を知っている私が生きていることで、お前も生きることができる。これをよく頭に叩き込んで、晩飯まで薪割りに行ってこいバカ野郎!。」
僕は思いっきり頭が凹むくらいのゲンコツを食らった。しかし、そのゲンコツにマーザーの優しさを感じた。僕は痛い頭を撫でながら、二人を連れて、薪割りに走って行った。
外に出るとかなり冷えていて寒かった。周りを見渡すと、鍛冶屋の横に薪割りがあった。斧が一本だけだったので、僕が薪割りの担当をして、他の二人は薪を運ぶようにして、役割を分担した。
昼ぐらいになっただろうか、気温もかなり上がり暑くなっていた。薪を割る僕に誰か近づいてくるのを感じた。
「ドレイク! 早く薪を持ってきて! もう無くなりそう!」
「... 」
返事がなく、おかしく思い、僕に近づいてくる足音の方向に振り向いた。そこには、顔に深い傷を負い、赤いヴィンテージテールコートを着た男が近づいてきていた。
「どうも、初めまして、今ここに、ディオ=グレイスはいるかな??」
僕は、こいつをここで食い止めなければならないと強く感じた、、、。
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