昨日の夕暮れ

私は読書をしていた

彼の孤独 おお 孤独よ

西日が差し込む部屋で

孤独に思いを馳せる


すると山火事が起こった

私は驚いて窓に駆け寄った

ああ なんということだ!

山は燃えていなかった

山火事などでは無かったそれは


夕陽に染まった空

なんと赤い!

重低音のようなその赤よ

何故昨日の夕暮れはそんなにも赤だったのか?

特別な赤だった。

ああ何故 夕暮れは私の喉を締め上げる

昨日に限ってのことだ


作りかけの縫いぐるみに

猫がじゃれたように

ちいさな爪が掛かっていた

その繊細さよ!


私はそのちいさな鉤爪で喉を掻き斬られたのか

この焦燥は何だ!

昨日の夕暮れに限ってのことだ


そしてなんと無慈悲なことだ

夕暮れは闇に溶けた

私は生涯二度とあの夕焼けに逢うことは出来ないのか!

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