自選詩集

マージナル

うちね

こんなやんか

なんか、ようわからへんけど

こんなふうやんか

うちね

ほんまは可愛いもんとか好きなんよ

ピンクのフリフリとかな

かなわんわほんま

気色悪いやろ？

うちがリボンだのレースだの、マカロンだのメレンゲだの言うてたら

似合わんなあ

気持ち悪いやろ？　堪忍な

うちね

こんなやんか

嫌やわ、とぼけなはる？

自分ではよう言わんけどな

こんな……なーんや、女やないみたいやろ

男みたい言うんとちゃう

ただ、女やないみたいなんや

なあ、男だったらなあ、思うんよ

ほんまは男やったんやけど、チンコ取れてもうて、男でも女でもない、うちになったんならなあて

取れてまう理由？　知らんわそんなもん

誰かにちょん切られたんと違う？　それがええ

そんでな、チンコないから、しょうがなく女として育てられたの

……パクりや。そんな話は。うちが考えたんやない。堪忍な

でも、せやったらなんぼ楽になれるか

──わからん？　うちの言うてること

うちね

他の人に言わんといてね……毎晩その、オナニーしてんねん

寂しすぎるやろ？　惨めで、カッコ悪いやろ

なんでかわかる？

だぁれもうちみたいな、こんなふうな、やつ、相手にせえへんからや

誰もうちを抱いてくれへんからや

うちを男扱いする人はおらへん。おらへんよ

せやけどな、うちを女扱いする人もおらへんのや

嘘やないで

うちね

いっちょまえに、初潮だけは早かったんよ

早く女になってもうた

せやから、女なのに女扱いされへん時期がもう、いやんなるくらい長いんよ

生理くるたんびに憂鬱なるわ

精子なんか来いひんのに、毎月毎月せっせせっせと寝床こさえて

毎月それがだらだら流れて

堪忍な、堪忍なて

真っ赤な便器に向かって言うんや

アホみたいやろ？

うちね

こんなやから

せめて、誰ともわからへん男に、襲われたいと思うんよ

中学生やあるまいし、襲われたい願望なんてな。みっともないわ

でも、誰かひとりでも、うちに欲情してくれたら、嬉しいやん

女でいいんやって、思えるやん

うち、わからへんもん。女の子が、男の子にやらしい目ェで見られて、嫌がるの

贅沢な悩みやな、思う

うちなら嫌がらへんし、なんならやらせるで？

でも男の子はうちやなくて、他の子をやらしい目ェで見るんや

何でやろな

うち、おかしいかな？　いかれてると思う？

でも、考えてみて

自分の女の部分が女らしく薫ってこなかったら、あんたかてそう思うで

違う？

──……わからんよね。ごめんな

うちもわからん。なんもわからん

これが妄想なんか、痛々しすぎる現実なんか、わからへん

それは、対話しいひんとわからへんことや

でもな、その対話が出来へんのや

こないな話……出来る人おらへんもん……

怖すぎるわ、うち。こんな独り言言うて

堪忍な

うち、こんなふうやけど

それでも女やけど

女で生きてるけど

女である意味がないのに

女で生きてるけど

堪忍な

堪忍な