第5話 はわわわ
「来栖くん?ほら、私のこと好きにしていいんだよ?」
俺の上にまたがるエッろい格好したお姉さん。
ちなみに過激なマイクロビキニ姿である。
なんだこれ最高かよ。
「そ、それじゃあ遠慮なく....」
俺はワクワクドキドキしながら彼女の胸へと手を伸ばす。
あと少しで豊満な2つのπを揉めると思ったその時。
お姉さんの体が急に巨大化し始める。
「ちょおーー!?!?」
さながらウル○ラマンのよう。
俺の5倍ぐらいにまで膨らんでいく。
いや、10倍かな?
「重い重い重い!!死ぬ死ぬ死ぬ!!」
重すぎる!
5トンぐらいあんじゃないの!?
潰れる!
窒息死しちゃうから!!
その前に潰れて内蔵ぶしゃーかな!?
テヘペロ。
いや、冗談言ってる場合ではない。
マジでやばい。
本気で潰れる。
豊満な巨乳が今ではただの砲弾にしか見えない。
「だ、だれかたしけてーー!!!」
ピピピピッ。ピピピピッ。
遠くでなんか変な電子音がする──────
「おもい...助けてくれ...はぁはぁ....」
「ほら、おにぃ!早く起きて!もう!」
お腹になにか重みを感じる。
そしてなんか時々跳ねている。
てか衝撃すごっ!!
跳ねるのやめてもらってぐほっ!?
「はーやーくー!起きて!!」
「ぐふぅ.....や、やめてくれ。頼むから俺の腹には....」
「起きるまでやめないよ!」
眩しい光が俺の閉じている瞼を貫通する。
多分、カーテンが開けられているんだろう。
この衝撃に耐えられない。
胃の中がリバースしそう。
胃には何も入ってないんだけども。
俺はしょぼしょぼする目をゆっくりと開ける。
「あ、マイエンジェル」
「まーた変なこと言って!私は天使じゃないよ!」
俺の腹の上に乗っていたのは中学3年生の妹。
このご時世では珍しいツインテールの妹だ。
そして俺のマイエンジェルでもある。
ふふ。自覚しているさ。
シスコンってことぐらい...
「マイエンジェル。朝からご褒美ありがとうだけどお腹が破裂しそうだからどいてくれ」
「はぁ...。じゃあ早く降りてきてよ?朝ごはん出来てるってよ」
「りょーかい」
俺はさっさと1階に降り、顔を洗ってリビングへと向かう。
ちなみに俺は朝ごはんなどを済ませてから制服へと着替える派だ。
なぜかって?
制服にご飯が飛び散るかもしれないからさ!
キラッ。
「おにぃ、朝からニヤニヤしてキモイ」
「いや、なに。頭の中でカッコつけてただけだよ」
「それをキモイ以外でなんて言うの...」
「おはよぉう、くーくん!」
「おはよう母さん」
俺の母さんはめちゃくちゃホンワカしている。
いっつも緩い笑顔。
婚約(仮)したあの日の夜だって柳沢さん関係だと知ると終始笑顔だった。
実は父さんから連絡がいっていたらしい。
あのクソ親父。
俺にも連絡入れてくれてもいいのに。
ある程度ゆっくりしながら3人でご飯を食べる。
まさに家族だんらん。
四字熟語で家族団欒。
いいことこの上ない。
そしてそんな団欒を邪魔してきた電子音が存在する。
ピンポーン
インターホンが鳴る。
こんな朝っぱらから誰だ?
「あ、私が出てくる」
美希が足早に向かう。
それから数秒した後。
「おにぃ!!だれか女の人!!同じ高校じゃないのーーーー??」
女の人?
誰だ?
家に女子呼んだことなんて1度もないんだが。
嘲笑いたければ笑えばいいさ!
ヘタレだってな!
その通りだよチクショウ!!
俺は頭の中でどこかの誰かに意味もない言い訳をしながら玄関へと向かう。
そこにいたのは....
「あら、おはよう来栖くん。迎えにきたわ」
あんたかよ!?
『迎えに来たわ』じゃねぇーーー!!!!
「え?は?柳沢さん?」
「音々でしょ?」
「なんかすんません」
「おにぃの彼女?」
「い、いやちがくて」
「来栖くんの婚約者よ」
「おにぃ、ほんと!?」
変なこと暴露すんなぁぁぁぁぁぁ!!!!
まぁ、あながち間違いでもないんだけどね!?!?
「ちょっと!バレちゃダメでしょうが!!」
「あら、義妹になるから言ってもいいと思ったのだけれど」
「ぎまいだって!!おにぃほんと!?」
「くそ!朝ごはん食ってた途中だったのに!!もう着替えてくる!!チクショウ!!」
俺はあの近所の主婦達が放つ
ならぬ
の波動を感じたのですぐに自室へ避難する。
そしてすぐにブレザーを着て、玄関へと直行する。
「はぁ...はぁ...。音々、早く行こう」
「ふふ。分かったわ。行きましょう」
「おにぃ!帰ってきたら説明してね!」
くそぉ!!
帰ったら早速恥ずかしい話を延々と話すことになったじゃんか!!
音々め....。
「あら、来栖くん。どうしたの?」
「いや、朝から慌ただしかったなと思って」
久しぶりだよ、こんなにバタバタした朝は。
美希が小学生の頃、男子と登校するって分かった時みたい。
「ねぇ、来栖くん」
「なに?」
「ん...」
そう言って左手を差し出してくる音々。
え、なに!?
そのまま俺の手を取って背負い投げでもするつもりですか!?
さ、さすが文武両道音々さんだぜ。
俺が恐怖らしきものを抱き、硬直していると
「ん!!」
今度は少し怒ったかのように声を大きくする。
「え?ど、どうしたの?」
「むぅ!!手!繋いで!」
「へぁ?」
あまりの予想外の答えに素っ頓狂な声が出てしまう俺氏。
「手!繋ぎなさいよ!!」
「え?まじすか?」
「まじよ!まじよりのまじよ!」
「でも、ここ人が「高校の生徒はあんまりいないじゃない!!」
おっと被せてきやがった。
まぁ、確かに高校の生徒は大してまだいないし、繋がなかったら繋がなかったらで婚約者(仮)のこともバラされそうだな....。
繋いどくか...。
「わかった!わかったから落ち着いて!」
「そう、わかればいいのよ。わかれば」
少し強がってるようだけど耳まで赤いよ音々さんや。
ギャップ萌えごちそうさまでした。
では、そろそろ握らせていただきます。
俺は音々を恐がらせないようにゆっくり、手を握る。
途端、音々がビクッと体を強ばらせるがすぐに大人しくなる。
しっかり離さないようにギュッと握る。
決して力は込めずに優しく握ろうと努力する。
俺だってまともに手を繋いだことなんてないからよく分からないが。
アハハ。
あ、ちなみに恋人繋ぎではないです。
そこはヘタレの俺が出てしまいました。
チラッと音々の横顔を見てみると
顔中、真っ赤にしてすごく目が泳いでいた。
口が「はわわわ」みたいな感じで動いてる。
その可愛さに耐えきれずに顔がニヤけてしまう。
なんだこの生物は。
悶え死させる気ですかコノヤロウ。
「ど、どうかな?」
「はわわ、コホンっ。と、とてもいいわね」
「それなら良かった」
「も、もう少しでいいから繋いだままにして」
そう言ってギュッと少し強めに握り返し、赤くなった頬と共に上目遣いで頼んでくる音々。
こんなの断れるわけもなく、
「お望みままに」
俺はそう返答した。
まぁ、そうだろうな!!
最初は少し恥ずかしかったが、音々のイメージとは全然違った乙女の顔が見れただけでも十分な報酬かな。
俺は音々のほんの少しだけ震えている手を優しく包み込むようにして握り返した。
◇◇◇◇◇
カクコンって10万字ないとダメなんすね・・・
チクショー!
◇◇◇◇◇
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