第6話 小悪魔とショッピング

さてさてさーて。

唐突ですが今はいつでしょう?


チックタックチックタックチックタック。

ゴーン。


タイムイズアップ。


正解は菜々子とショッピングに行く土曜日でしたー!

いやぁ、時が進むのは早いなぁ!

あの約束をしてから気がつけば3日も経っていたんだよ?

すごくない!?


まぁ、そんなことより今は菜々子を待っています。

現在集合時間の10時かと思いきや1.5倍の10時半。


あの野郎。

自分から誘っといて遅刻しやがった。

もしかしてのドタキャンか?

もし来たら頭グリグリの刑だな。うん。


さらに待つこと5分。

人混みの中から1つの大きな声がこっち向かってやってくる。


「せっんぱ〜い!遅れてすいませーん!寝坊しちゃいましたァーー!」


そして俺の前にやって来てぜぇぜぇ息を吐く菜々子。


「テヘペロ」


舌を可愛げに出す菜々子の頭の両側面に俺は無言で

ゲンコツを持っていく。

そしてそのまま....。


「いたっ!?いたたたたた!ちょ!ごめんなさい!ほんとにやめてくださいーー!!」


「てめぇ、何が寝坊ですテヘペロだコラ。何分待ったと思ってやがる」


「起ぎだら9時50分でずよ"!しょーがないじゃないすか!っていった!マジでやめてくださいー!!」


ほんとに痛そうにしているので俺のダブルゲンコツから菜々子の頭を解放する。


「はぁ...。ほんとに反省しているのかと俺は問いたい」


「反省してるに決まってるっすよ!見てください!この目!涙出てますよ!?泣くくらい反省してますから!」


「それ、俺のゲンコツが痛かっただけだろうが」


「あ、バレちゃいました?」


「そんな嘘秒でバレるわ」


ふと、会話が止まり周りを見渡すと少しざわざわしている。

主に俺たちをの方を見て。

いけないいけない。

つっこむ事に夢中になりすぎていたらしい。


「そんなことより早く行きましょう。変に注目浴びてますから」


「お前がここまで遅刻なんてしなければこんなことにはならなかったんだが....」


俺たちはいそいそとその場を後にした。


そして着いたのは大きなショッピングモール。

洋服はもちろんのことカフェ、ゲームセンター、本屋、スポーツ店などたくさんの店舗があるマルチな商業施設だ。

俺の家族もよくお世話になっている。


「今日はここで先輩のファッションセンスを磨きましょーう!むふふ」


「だからそもそもそこまで悪くないはずだって。俺のファッションセンス」


そう言って今日の自分の服装を見直す。

黒のデニムに、白ティー、黒のジャケット。

いかにもThe普通みたいな服装だが壊滅的というわけではないはず。

はずだよね?


「私が壊滅的と言ったら壊滅的なんです。何を言ってるんですか」


「何を言ってるのかって俺が言いたいんだけどそれ」


「うるさいです(ニコッ)」


「はぁ....。とりあえずどこに行くんだよ?俺、何も決めてないからな」


「大丈夫です!私が全て計画してるので!時間押してるけど!!」


「それは自己責任だろお前」


「まぁまぁとりまいきましょー!」


「はいはい」


そういうわけで俺たち2人がとりあえず向かった先は有名な古着屋。

すごくオシャレな臭いがプンプンする。

世の陽キャ共が集いそうな場所だなこりゃ。


「まぁ、まずはここですね!ここでお宝を掘り上げましょう!!」


「お、おー」


正直俺はある程度の洋服であればそれでいいんだけど菜々子はそれを許さないらしい。


「では、まずはこれをチャチャッと!」


「へいへい」


あまり気持ちが乗らない俺はとにかく菜々子から渡された物を着ていく。

パーカーやらジャケットやら。

下の方に関してはカジュアルなやつからデニムまで。


とにかく多種多様なやつを着ていく。

着せ替え人形みたいだな。

人形さんもなかなか大変なお仕事をされているらしい。

お疲れ様です。


「先輩、どっすか〜?」


シャーっと音が鳴ったと思えばカーテンをずらし菜々子が顔をヒョイっと試着室の中に入れてくる。

入れてくる!?


「どうぁーー!?!?やめろ!見んな!恥ずかしい!」


「いいじゃないですか。下着なんて見られて減るもんじゃないし」


「お前がこの状況だったらそんなこと言えんのか!!」


「は?純情な乙女ですよ?なわけっすよ」


「なら、見んな!!」


とまぁこんな感じですごく騒がしいのだけども。


ここでふと頭の上に降ってきた疑問を聞いてみる。


「なぁ、お前は服買わなくていいの?」


「今日は先輩を魔改造しにきただけなのでだいじょーぶでーす。あ、でも下着買うの手伝ってくださいね」


「ぜーったいむり」


女子の下着屋に男が行くとか精神的に無理でしょうよ。

世の中の男子に行けるヤツがいたらぜひ会ってみたいね。

あ、涼介は全然行けるんだった。

もう既に会ってたわ。


そして菜々子の着せ替え人形になること1時間。

時計の長針は12時を指していた。


「んー。まぁ、こんくらい買えばどうにかなりますね。ごはん行きましょうごはん」


「お前急ぎすぎな。ちょっと会計済ませてくるから待ってろ」


「はーい」


菜々子に選別された物を手に会計へと向かう。


「お会計は合計で9800円です」


バイトをしている高校生にとってはそこまでキツめの金額ではないから少し安心。

あいつのことだから高額なやつばかり選んでてもおかしくないからな。

9800円キッカリ支払って店を出る。


「あ、おかえりでーす。ごはん行きましょうごはん」


「お前は食いしん坊か?食いしん坊キャラなのか?」


「お腹が減っては戦は出来ぬなんて言うじゃないですか。早くいきましょー」


「分かったけどなに食べんの?」


「適当にフードコートでもブラブラします?」


「じゃあそうするか」


というわけで食べたい物とかが決まってないためフードコートをブラブラすることに決定。

1階からフードコートのある2階へと移動する。


フードコートにはピザ、ハンバーガー、フライドチキン、スイーツなどたくさんのジャンクフードが立ち並んでいた。


2人並んでブラブラ歩く。

ブラブラと言いつつ、2人とも何を食べるかしっかり考えながらだが。

フードコートを1周回って、最初の位置に戻ってきた。

菜々子は少し思案した後、俺の方を見て言う。


「んー。私はパスタでも食べまーす」


「んじゃ、俺もそうするかな」


俺は別に食べたい物があったわけでもないので菜々子と同じパスタを食べると決めた。

もうパスタの口になった。


というわけで俺はナポリタン、菜々子はカルボナーラを注文し、奇跡的に空いていた4人席へと移動する。


「良かったすねー、席空いてて」


「ほんとギリギリ1つだったよな。危なかった」


丁度昼時のフードコートは席の取り合い合戦が定番だ。

誰かが食事をし終え席を立ったら、そこに素早く滑り込む。

椅子取りゲームの感覚で。

そこに慈愛などは存在しない。

あるのは食に飢えた獣の心のみだ。

まぁ、今回は運良く席が空いていたのでそんなことも起きらなかったが。


「んじゃ、食べましょー!」


「あぁ。そうするか」


俺がフォークをナポリタンの麺に絡めようとした時、少し後ろの方から声がかかる。


「ごめんなさい。席を相席してもいいかしら?」


「あ、大丈夫ですよ。菜々子もいいよな?」


「はい!もちろんOKです!」


「ありがとう。感謝するわ」


俺はこの時、きちんと確認しておくべきだった。

この声をかけてきた人物が誰なのかを。


声をかけてきたと思われる人物が俺の右斜め前の席、つまり菜々子の隣に座る。


俺が少しの好奇心でチラッとその人の顔を盗み見した時、それは起こった。

なんとその人とガッツリ目が合った。

いや、合ってしまったのだ。


「来栖くん?何をしているのかしら?」


「や、柳沢さん?」


マジですか....。






◇◇◇◇◇

カクコンの応募終了までに無事10万文字を超えましたらこれまでのパロディ的な描写を全て書き換えることになるかもしれません。

ごめんなさい。

また、☆が選考に関わってくるらしいので☆1でも良いので付けてくれたらありがたいです。

◇◇◇◇◇



















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