第4話 オホホ系
◇◇◇
諸事情より来栖のバイト先をコンビニからファミレスに変えさせていただきます。ご了承くださいませ
◇◇◇
「お前なぁ、その挨拶やめろって」
「いやぁ、先輩の反応が面白いので。えへへ」
少し赤くなった頬を指でかく後輩。
こいつ、口がもう少し大人しかったら可愛いんだが....。
「てかほら!先輩も早く着替えてください!時間ですよ!じーかーん!」
「分かっとるわ!ったく」
更衣室に入り、ファミレスの制服へと着替える。
そして店長に軽く挨拶をして持ち場に入る。
俺は基本的にホール担当だ。
簡単に言うとお客さんからオーダーを取ったり、後片付けなどをするところだ。
The・接客業って感じだ。
なぜキッチン担当ではないのかって?
それはな・・・・
俺はなんといっても料理が一切できない。
というかしたことないから出来るとか出来ないとかすらも分からない。
『おあがりよ!』
ってどこかのマンガの主人公みたいなセリフを言ってみたいもんだぜ。
まぁ、夢のまた夢だろうけど....。
「ってなーにサボってるんすか!テキパキ動いてくださいよ!」
「はいはい」
菜々子はいつもは適当みたいな性格をしているが仕事となるとキリッとした表情になってバリバリのキャリアウーマンへと変貌する。
時にはホール、時にはキッチンとオールラウンダーな仕事ぶり。
将来はきっといいお嫁さんになるだろう。
ただ旦那さんは尻に敷かれるだろうな、うん。
さーて油売るのもここまでにして、俺も仕事に戻りますかっ!!
「いらっしゃいませー!何名様でしょうか?」
「ふいっー。今日も疲れた」
「先輩、おじさんみたいっすよ」
「はぁ?もう俺の歳までいったらおっさんだろーが」
「そしたら1歳差の私もおばさんじゃないすか!イヤっすよ!!!」
「知るかよ!?」
ファミレスの制服から学園の制服にチェンジした後、一緒に帰ることを提案してきた菜々子と歩く。
「そいやお前の学校の制服って可愛いよなぁ」
「そうっすかね?先輩の方もデザイン良きと思うんすけど」
俺は白を基調とした純白の制服を見る。
白の中に赤いリボンがすごく似合っている。
この小悪魔系お調子者後輩。
実は県内でも有数のお嬢様学校に通っている。
性格は全然お嬢様じゃないが後輩曰く
『学校じゃお嬢様キャラに決まってるじゃないすか!オホホ系ですよ!オホホ系!』
だそうだ。
なんだよオホホ系って。
そっち系の人かよ。
「俺の方はそうでもないだろ。在り来りって感じ」
俺の方の高校は紺を基調としたブレザーだ。
ネクタイの色は赤×紺と黄×紺と黒×白の3つだ。
俺は赤×紺と黒×白の2つを買った。
ちなみに今日は黒白だ。
「まぁ、先輩ファッションセンス皆無そうですもんね」
「おい、隠しもせずにディスるんじゃない」
「先輩ってファッションセンス皆無そうですもんね。あ、いい意味で」
「お前、いい意味でって言えばなんでも済むと思ってるだろ?」
「先輩のファッションセンスって個性的そうですもんね」
「この会話の後だとディスってるようにしか聞こえねぇんだけどな」
「まぁ、顔だけですもんね」
「お前、そろそろ処すぞ?」
こいつとの会話はいつもこんな感じ。
これが意外と居心地良かったりもする。
まぁ、たまにイラッとしたりもするんだけど。
「そうだ!先輩のその腐ったファッションセンスを叩き直してあげましょう!」
「おい、処すよ?ほんとに。あと、俺のファッションセンス舐めんな」
「ということで週末、ショッピングに行きましょう!」
「あ、話聞こえてない感じ?」
「ガッツリガン無視ですね」
「聞こえてんじゃねぇか!!」
いつもこいつのペースに飲まれるのは癪だが、楽しいので許せてしまう。
これぞ小悪魔系後輩の魔力だな。
妹とは性格が似てないのなんの。
きっとこいつは
『転生したら小悪魔だった件』
だったんだろうな。
「ということで土日のどっちがいいです?私は帰宅部なのでどっちでも構いませんが」
「俺に行かないという選択肢はないの?....はぁ。日曜日はパス。用事」
「では土曜日ですね!楽しみにしています」
日曜日は美玖の大会があるので行けないため、必然的に土曜日ということになった。
これで晴れて俺の週末はどちらも潰れたわけだ。
月曜日、疲れ取れてるかな.....。
「それでは先輩!また土曜日会いましょう!」
「はいはい。お疲れサマンサ」
「なんですかその変な挨拶。では、また今度!さらば!」
そういってテテテテと走っていく菜々子。
てか、お疲れサマンサ知らないのかよ。
今、流行りの呪○廻○の五○先生のあれだよ。
元ネタは知らんけど。
俺もさっさと帰ろ。
そして、課題して寝よ。
なんか今日一日ですっごい疲れた。
そう思って歩き出そうとした時、道路を挟んで向かい側の歩道の方に目がいく。
いや、正確にいうとその歩道を歩いていた数人の女子グループのうちの1人の金髪女子に目がいく。
その女子を目にした時、さらに追加でどっと疲れが顔を出す。
(な、なんであいつが....)
あいつは地元の高校を受験したはず。
俺は少しでも鉢合わせしたくないから通っていた中学より少し遠い高校を受験した。
電車を使って通学するため少し時間はかかるがあいつを目にするということよりは断然マシだ。
そう思っていたのに。
身体中から嫌な汗が吹き出し始める。
そして久しぶりの怒りが湧いてくる。
俺は無意識にあいつの方を睨みつける。
そこで俺はふと我に返った。
遠いといってもたかが三町ほどの距離しかない。
用事があったら別にすぐに来れる。
絶対に会うことはないというわけではない。
会う確率が下がっただけだ。
だから俺がここでキレたところで無駄。
あいつに対する怒りそのものが無駄なのだ。
怒るのやめよ。
てか、あいつを変に意識するのはやめよう。
幸いこっちは俺の事に気づいてない。
バレないようにさっさと帰ろう。
ゆっくり風呂に浸かれば嫌なことぐらいすぐに忘れるさ。
俺は自分にそう言い聞かせ、まだ少し残っている怒りを消そうと努力しながら帰路についた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
なんでしょう。最近気持ちが乗りませぬ。
多分、F○Oのガチャで爆死したからでしょうね。
どっちもがんばります笑
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます