そのささやかな出遭いは奇跡の出逢いだった

佐倉幸介は高校生。サンタクロースなどとっくに信じてはいないのだが、しかし。冬の町で彼はミニスカサンタに出遭う。そしてプレゼントをもらうのだ。彼女――シャーロット・クロースがバイトで配っていたティッシュをひとつ。そんなささいな出来事から、幸介とシャーロットの物語は始まる。

まず目を惹かれたのは幸介くんのリアリティ。冷めてはいないけれど斜に構えていて、受け身だけど受けるばかりの状況に不満足。ありがちな男子高校生ならではな有様(ありさま)が容赦なく描き出されていて、「等身大」の主人公像が成立しています。

そして幸介くんがそうだからこそ、シャーロットさんとのあれこれや妹さんとのやりとりの中で動いていく心の有り様(ありよう)に引きつけられるんですよ。

さらには物語へ置かれた伏線がきっちり回収されるカタルシスもあって、まさに文字通りの大団円、最高に気持ちいいのです!

幸介くんへ贈られるクリスマスプレゼントの正体、どうぞみなさまの目でご確認をば。


(「季節、秋から冬へ」4選/文=髙橋 剛)