(10)

 それから、首都から、僕たちが食料を奪われた要塞都市に着くまでの時間の、更に何倍もの時が過ぎた。

 僕達の部隊は……途中に有る要塞都市に住んでいた魔族の生き残り達を「食料」にしながら行軍を続けた。

「……この『地獄』の地面は球形みたいだな……。大きさは判らないし、この『地獄』の『外』が……どうなってるのかも不明だが……」

 旅が始まって何度目かの食事の為の小休止の時に、佐藤が、そう言った。なお、食事は、狩った「野良魔族」の死体……よりにもよって「地球」の白人にそっくり……だ。

「何故だ?」

 木村くんが、そう、佐藤に聞いた。

「地平線が有る」

「そう言や……今の俺達の体の大きさって、どれ位なんだ?」

「さあな……元の世界に戻れたら、虫ぐらいの大きさか……」

「さもなくば……」

「どうかな?」

「えっ?」

「……転生したは良いが……俺達の世界を滅ぼしたヤツには、対抗出来そうにない体だな、こりゃ……」

 2人の会話を横で聞いてた別の魔族がそう言った。

「あんたの世界は、どうなった?」

「他の世界から侵略者がやって来て……。でも……俺達の世界を滅ぼしたのは、よりにもよって、俺達の同胞だった。侵略者達にもダメージを与えられる代りに、俺達の種族にとっても有害な汚染物質を大量に撒き散らす兵器が使った馬鹿が居てな……」

「で、もし、とんでもない力を手に入れて元の世界に戻れたなら……あんたが滅ぼしたいのは、他の世界からの侵略者か? それとも……?」

「両方だ……。侵略者も……俺達の世界を『死の世界』に変えてしまった俺の同胞達も……」

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