Cave

作者 ナツメ

51

18人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

 信仰BLだ!! とてもはしゃいで読んでしまいました、読みながらもずっとはしゃいでいました凄く好きなやつですね……。
 君は美のイデアだ。から始まった瞬間口笛吹いてしまいました、よくわかっていらっしゃる……。最初の一文のパンチが最強でした。人間に対して美のイデアと評する時点でもう二人は破綻しているんですよ、どうなるの……!? と一気に続きが気になります、掴みが素晴らしいです。
 こちら内容も良いのですが、構成が物凄く巧みだなと個人的に感動しました。登場人物二人の視点が交互に来るのですが、この視点がじわじわと離れていく流れが本当に素晴らしい。特に最後にかかってくる、転調してからの感情の離れ方が読後の空しさをより強固にしています。わかっているのですが本当にお上手ですね……分断されたレールは二度と交わることはないとはっきり読者に突きつけてきます。
 タイトルにも触れたいのですが、イデアという単語と組み合わせて考えると本当に洒落ています。カメラマンは結局、洞窟の壁に映る影を美しいといって撮り続けていたようなもの……私はそうとらせていただきました。普段のツイート風に言うのなら、に、人間ごときにイデアが観測できてたまるか~~! なのですが、きっとナツメさんの思惑通りなのでしょう……脱帽します。

 人の信仰はときに他者依存の側面があると思われます。こちらの作品からはその悲劇を感じ取りました。現実と剥離する、神として崇められる神ではない意思の存在、かなしいですね……。面白かったです!!

★★ Very Good!!

途中まで読んだ時点で分かってたんですが、この種の物語は一つしか落としどころがないんですよね。そう。美を永遠にする唯一の手段は死です。これ、実話として実際に実践した有名な人物がいます。古代ローマ帝国五賢帝の一人、ハドリアヌスの寵童アンティノー。年を取って「美少年」である自分が失われることを恐れ、ナイル川に身を投げたと言われています。

★★★ Excellent!!!

 写真家の男とモデルの青年のお互いによる相手についての語り。それは時に会話であったり心の声であったりするがその応酬の中でかつて確信された愛みたいなものが徐々に崩れていく。
 写真家の男は属性からか美を芸術的に捉えるがモデルは人を愛した。写真家がモデルを神的に表現し、そうであると主張するもモデルは限りなく人間として描写され続ける。この視座の違いは進むに連れて崩壊の道を辿る。
 モデルが「その後」からも声を持ち、自己認識が存在するあたりに写真家の本願はある意味成就したのかも知れない。ところが皮肉なことに写真家は人間なので対話を永遠に失い、ついぞ神の心情など理解できぬまま己の考える最善によってただ罪人として野に放逐され自らの無知に気づかぬまま神の愛した人間としてこれからも在り続ける。それをどう捉えるかによってこの物語の持ち味は変容する。悲劇と喜劇は隣り合わせであると。理解という神話。