「去り行く者に捧げる折り紙②」 心の声、秋

&α 秋

「とりあえず、三人でどこか行くわよ」

「どこかって」

「どこだ。いきなりハードなのはかんべんしてくれよ」

「ハードって何よ。紅葉狩りとか、秋御膳とか。そういう、季節的なことよ」

「それならいい」

「なんか、優しさの質が、かわってきたね？」

「そりゃあ、来るべきあなたのはじめてを奪う日まで、優しさのゲージを貯めないといけないからね。まずは秋らしいことをして親睦を深める」

「そうか」

「たのしみにしてるね」

　今度は頭をぶつけないように。

　両頬に、キス。ふたりから。

「うわお。キスの秋」

「おまえの目的の二つ目は」

「これで達成」

　三人で帰る、帰り道。

　夕暮れ。長い影。まだ、秋は続く。