第29話 君の恋も七十五日

 学期末試験の結果は散々だった。

 一昨年の今ごろは上位十位以内に食いこむ好成績を叩きだしていた私だが、それをピークに、どんどん下り坂を転げ落ちている。

 今試験ではついに平均点を割ってしまい、浮かぶ瀬といえば、騎射でなけなしの最優秀評価アインスをもぎ取ったのみだ。

 年々成績の悪くなっていく様を間近で見ていたために、パトリツィアとカトリナからは「ついにここまできたか」という目を向けられている。無理して演じていた模範生の姿も、襤褸が出るところか、いまや襤褸切れそのものだった。

 しかし、自分の成績よりもよっぽど気にかけなければならないことが、私にはある。

 クラウディアが私の弱みを握ろうとしていたなら——《調停の祝福》で締結された、去年の一連の密約を、《真実の祝福》で明らかにされるのではないか。

 私の平穏を壊されるわけにはいかない。念のため、ノイモンド・フォン・シックザールの《調停の祝福》がどの程度有効になるのか、祝福を受けた本人に確認を取りたかった。ただ、相手は小侯爵で、一介の伯爵令嬢が気軽に会える相手ではない。手紙を出そうにも差し障りがあるし、最も容易な手は、神聖院へ行くことだ。

 となると、まずはフィデリオに一声かけることになるのだが、生憎と、あの男は渡り廊下で女子生徒となにやら話しこんでいた。


「…………」


 込み入った話かしらと、私は離れたところで柱の陰に立ち、様子を伺う。冷えた手は組んだ腕の中に仕舞いこむ。

 しばらくそうしていたけれど、二人の離れる気配が一向に見えない。自分の右足が床を小刻みに鳴らす音がいやに響いていた。

 私は舌を打ち、フィデリオ目がけて歩きだす。

 痺れを切らした私が近づいてくるのに気づいたのは、フィデリオのほうが先だった。


「ちょっと来なさい」

「え、な、はっ? なに?」

「いいから」


 私へと振り向いたフィデリオの腕を取り、その場から連れ去ろうとする。

 焦ってこちらに縋る女子生徒を、私は視線だけで黙殺し、形ばかりに微笑んで「ごきげんよう」と言い捨てる。続き、フィデリオが「失礼。また今度」と告げた。

 とりあえずは私に従うことにしたらしいフィデリオを引き、人気ひとけのない場所まで辿り着く。音の届かない廊下、何世代か前の卒業生が寄贈したとかいう絵の前で、私たちは立ち止まった。


「はあ。本当になに? どうして俺はここまで連れてこられた?」

「貴方がいつまでもあのご令嬢と話しているからよ。一人になるまで待ってやろうとしたのに、いつまでもべらべらと」

「なら最後まで待っててくれよ。君って本当に短気だな」

「私の気を勝手に測って知った気にならないで」

「わりと知ってるほうだよ。昔から思い通りにならないと我慢できないタイプじゃないか。どうせ成績が落ちたからって、余計にイライラしてるんだろ」

「成績の話なんてしてないでしょう。自分はいいからってえらそうに」


 フィデリオは相変わらず卒なくこなすタイプで、監督生になってからも、学年次席という好成績を保っている。

 ちなみにディアナは首席に返り咲いた。私が足を引っ張ったり、フィデリオが血眼になったりしないかぎり、彼女の首位は固いのだ。

 私が顰め面を崩さないのを見て、フィデリオはやや困惑気味に、私に尋ねる。


「ヴィーラ、いったいどうしたんだ。ああして引き剥がすまでして、俺に言いたいことってなに?」


 やっとフィデリオが聞く態度になったものの、私はどこからどう話したものかと迷った。

 昨年の水面下での出来事は、私とディアナだけの秘密で、一端を知るのもガランサシャとシックザール小侯爵のみ。フィデリオは私がをしたと知っているものの、それをどのように白紙に戻したかは知らない。そのうえで、今度はクラウディアの名前まで出すことになるのだ。

 私が考えあぐねていると、その沈黙を、フィデリオは邪推した。じとりと眉間に皺を寄せる。


「さては、君、なにかしでかした?」

「…………」

「わかった。なにかしでかそうとしている」


 自分の信用のなさに呆れるより先に、この男のトンチンカンな発想に怒りが湧いた。

 まるでガランサシャやクシェルみたいなことを言って。これでは気を揉んでいる私が馬鹿みたいじゃないか。

 ただ、物言わぬ私の機微を察するくらいはできたらしく、フィデリオは「拗ねてないでなんとか言えよ」と私に促す。


「……次の休み、神聖院に行こうと思ってる」

「へえ? 君が《運命ファタリテート》に祈りを捧げるなんて珍しいね」

「シックザール小侯爵に会いに行くのよ」

「君にあの方との交流があったなんて、ちょっと意外だな。行ってらっしゃい」


 脛を蹴ってやった。

 そんなに強く蹴ってはいないのに、フィデリオは「おい、なんでだよ!」と声を大きくする。


「そっちこそなによ。前に貴方が口うるさく言ってきたから、会いに行く前にわざわざ教えてやったってのに」

「ええ?」

「政敵に会いに行くなんてとか、くどくど文句を垂れてきたのはそっちでしょ。あのときの貴方ったら、私を追いかけた挙げ句、夫人に突きだすなんて脅かしてくるくらい怒ってたじゃない!」

「ああ……そういう」片眉を跳ねさせ、フィデリオは続ける。「俺に伺うほど君が思慮深くなったことは喜ばしく思うよ。でも、あのときは派閥争いが顕著な時期だったから咎めただけで、いまはそう神経質になる必要はない。小侯爵に用があるなら、自由に会いに行くといい」


 この男にわざわざ報告する義務なんてないらしい。おまけに「ご自由に」と容易く見送られている。

 その態度がどうにも癪に触って、私はどんどん不機嫌になっていく。

 この男、私の神経を逆撫でる天才だわ。

 私が舌を鳴らして視線を逸らすと、フィデリオは「こら、はしたない」と叱りつけてきた。


「貴方って、本当、最悪」

「なんでだよ。最近、たまに、君が機嫌を損ねる道理がわからなくて困る」

「だからわかった気にならないで」

「本当に君は……ちなみにだけど、どうして小侯爵に会うんだ? ラムールとの交流会でお世話になったからってお礼をしに行くような君じゃないだろ」

「確認したいことがあるのよ。これについては、貴方は本当に関係がないから、ちっとも困る必要はないわよ」


 すんなり見送ろうとするフィデリオに、わざわざ後ろ暗い話をする気もない。第一、フィデリオの前でクラウディアの名前を出すのは気が引けた。

 なので、私はぶっきらぼうに返したのだけれど、それがかえって注意を引いたらしい。


「……なんか、嫌な予感がするから、俺も行く」

「はあ?」

「そうやって、君が俺に干渉させたくないことの大抵、後々とんでもない事態にまで膨れるって、俺は身に染みてるんだよ」

「でも、本当に貴方の関係のないことよ? 時間の無駄になるんじゃないかしら」

「無駄になるならそれでもいい。俺は信徒として祈りを捧げるだけだ」

「…………」

「次の休みだね。馬車の手配をしておくから、絶対、勝手に一人で行くんじゃないぞ」


 思わぬところでフィデリオが釣れたものだ。

 私は跳ねあげた眉を下ろせないまま、じっとフィデリオを見つめる。

 まったく難儀な男だ。学業のない日はゆっくりしたいだろうに、私を目の届く範囲に置こうとする。

 私は肩を竦め、そっぽを向いた。


「敬虔な信徒よね」

「アウフムッシェル家は休日に神聖院に行くくらいには敬虔だよ。君が跳ねっ返りなだけ」

「たしかに運命はあるわ。でも嫌いなだけ。お導きの一つもくれないから」

「運命は飲み干すしかないものだとシュレーゲルミルヒは言うけどね」

「詩人の言うことなんて当てにならない」

「シュレーゲルミルヒは脚本家だ」


 へしゅ、と私が小さくくしゃみをする。

 冬の彩の月の廊下はひどく冷えるのだ。制服を着ていても、羽織ショールなしに長居するのはつらい。


「戻ろうか」


 そう言って、フィデリオは私の背中を押す。

 私は歩きだしながら、横目に彼を見上げる。


「そういえば、さっきの令嬢となにを話していたのよ」

「彼女のデビュタントについて」

「貴方がパートナーをするの?」

「お父様に頼まれてね」


 フィデリオが下級生の令嬢と踊ることは初めてではない。

 たしか去年の今ごろも、新たに入学してきたどこぞのご令嬢のエスコートをしていた。

 入学するまでは交流が希薄になりやすい貴族令嬢にとって、デビュタントでパートナーを見繕うのは難しい。親しい同級生の令息がいないとなると、親や知人の伝手で頼むのだ。


「薄黄色のドレスなんだって。できることなら、俺にも近い色の正装をしてほしいと」


 たかが一回きりのデビュタントで、パートナーとして色を揃えてほしいなんて、世間知らずというか厚かましいというか。

 ただ、語るフィデリオの面差しに他意はなく、蜂蜜のように甘いと評判の瞳も穏やかなままだ。

 私の嫉妬の緑ともフェアリッテの豊かな淡褐色ヘーゼルとも違う、日差しを浴びて溶けるような、蜂蜜色の瞳。その眼差しがどこまでも真摯である意味を、私はきちんと理解している。

 ふんと鼻を鳴らして、フィデリオに返す。


「どうせ貴方は持ってないでしょうに」

「そうなんだよな。薄黄色か……シャリオットなら手持ちにあるかもしれない。寮に帰ったら聞いてみよう」


 隣のフィデリオは一人言のようにこぼす。

 その横顔は考えに耽っていた。

 無理に合わせなくてもかまわないのに、この男は、律儀に。


「とにかく。次の休みの午後よ。昼食を終えたら談話室に集合しましょう。遅れたら置いていくから」 

「外出のとき、君が俺より先に来たことがあった?」






 あっという間に休日は来る。

 学び舎から一番近い神聖院まで来た私たちは、祈祷に向かった。

 今日もディアナは奉仕活動をしているらしく、祭壇で偶像イコンのように突っ立っている。

 ただ、目的のシックザール小侯爵の姿は見えなかったため、を行使することにした。

 神聖院に寄付をした貴族は、“聖女”と対面し、ありがたいお言葉を頂戴できるのだ。

 私は小切手さえ持っていなかったけれど、今年もすでにアウフムッシェルの名で寄付をしていたらしく、家紋を見せればすんなり部屋へと案内してくれる。今回ばかりはアウフムッシェル夫妻の信心深さに感謝したい。


「隣人に慈悲を。日々に感謝を。祈れば救われます。信じた道の先に《運命ファタリテート》のご加護がありますように」


 通された部屋に入ると、待ち受けていたディアナが、祭壇の上でも言ったようなことを述べた。

 刺繍を施された純白の外套ガウンに、黄金に煌めく絹の肩衣ヒューメラルを羽織っており、すっかりの装いである。

 相変わらず、窓から漏れる陽光さえ後光にしてしまえる女だ。ただの偶像だと理解していても、この見た目でそういう台詞を吐かれると、人には測れないとんでもない相手なのだと錯覚させられる。

 この日、参拝した貴族は私たちだけらしく、部屋には私とフィデリオ、ディアナの三人だけだった。

 ディアナはすっきりとした笑みで私たちを迎えた。その手には白い陶磁の花瓶があり、ちょうど水を換え終えたところなのだろうと察せられた。


「今日はお二人でお越しですか。毎日会っているので、こう言うのもおかしなことですけれど、珍しい顔ぶれですね」

「そうだな。ご機嫌麗しゅう、ミットライト嬢」

「よい日和ですね、アウフムッシェル卿。プリマヴィーラ嬢も、今日はよくお越しくださいました」


 ディアナが私の名を呼んだことに、フィデリオは意外そうな顔をした。

 少し前に私が彼女の名を呼び捨てたからだと、私は知っている。


「ええと。俺たちが今日わざわざ出向いたのは、少しお話したいことがあるからで」

「はい。なんでしょう?」

「俺じゃなくて彼女なんだけど」


 フィデリオが私に視線を遣る。

 私は、大して広くもない部屋を十二分に見回し、本当に誰の影もないのかを確認する。枢機卿の一人も見当たらない、この静かな部屋に、あのひとの姿はなかった。これはあてが外れたか。


「ディアナ。今日はシックザール小侯爵はいらっしゃらないの?」

「え?」

「あの方ならこういう場には必ずいそうなものだけれど、姿が見えないから。もしかして執務にお忙しいかしら」

「ちょっと待ってくれ。君、小侯爵と約束していたんじゃないのか」

「いいえ」

「嘘だろ? 君が勝手に押しかけただけ? わざわざ休日まで使ってこんな無駄足を?」

「なによ、そんなに非難するなら来なければよかったじゃない。どうせ話をするには貴方は邪魔だから、馬車を置いて帰っていいわよ」

「あれは俺が手配した馬車なんだ。君は歩いて帰ってくれ」

「へえ? いいのね? 本当に歩いて帰ってやるから。明日には言いふらしてやるから。あのフィデリオが私を置き去りにして馬車で帰ってしまったのよ、って」


 私とフィデリオが言い合っていると、「あの」と硬い声で呼ばれる。

 振り返ると、目を見開かせたディアナがいて、なんとなく、少し狼狽えているようにも見えた。


「……何故、貴女が、ノイモンドに?」


 そういえば、以前にも、こういう完全無欠らしからぬ顔のディアナを見たことがあった。そのときも、私はノイモンド・フォン・シックザールの名を出していた。

 そう思い返すと、あのとき見えてこなかったものが、今、見えるようになる。

 ディアナは私を責めていた。高が知人の男に会いに来た程度で。彼女の強張った表情の奥の、凍えるような悋気りんき

 その情緒には近ごろ覚えがあった。


「もしかして、貴女、小侯爵のことが好きなの?」


 甲高い悲鳴を上げ、花瓶が砕け散った。

 ディアナの手から地面へと滑り落ちたのだ。

 足元は水浸しになり、砕けた瓶の破片と花弁が不規則な模様を描いた。甲高い音が鼓膜に穴を開けたみたいに、私たちは呆然としている。

 ディアナの月のような蒼顔は、憐れを誘うほどの朱に染まっていた。あの聖女がこんな顔をするなんて誰が想像できるだろう。今のディアナは誰がどう見ても、恋を暴かれた恥辱の乙女だった。


「え。図星なの?」

「ちょっと、やめろヴィーラ」


 ディアナがよたよたと力なくその場にしゃがみこんだと思ったら、華奢な手で割れた花瓶の破片を掴んだ。ちょうど取手のあった部分だ。その取手を握り、切先のような鋭角をこちらに向けた。

 血の気の昇った顔のまま、ディアナが言う。


「殺します」


 大きく振りかぶられたその手首を、フィデリオが咄嗟に掴む。

 しかし、半狂乱のディアナは花瓶片の切先を握りしめたまま、なんとか振り下ろさんとしている。焦るフィデリオが「ミットライト嬢、よせ、落ち着くんだ!」と訴えかけるも、ディアナは無言で唸るばかり。聞く耳を持たない。

 私はフィデリオの背後で口元に手を遣った。ディアナがたいへんな見物だったので、笑みを噛み殺しきれなかった。


「……ふっ、へえ。貴女がね。意外だわ」

「煽るなヴィーラ!」


 ここまで取り乱したディアナなんてこの先一生拝めないかもしれない。ある種の感動すら抱いた。


「なんの騒ぎですか?」


 すると、奥の扉が開き、何者かが部屋を覗く。

 ノイモンド・フォン・シックザールだった。

 私もフィデリオも「あ」と口を開く。ディアナの意中の人であり、渦中の男である彼の登場は、あまりにもうってつけすぎた。

 ただ、彼は目の前の光景を誤認した。


「ディアナになにをしているのです!」


 フィデリオからディアナを引き剥がし、その小さな体を抱きしめて、こちらを睨みつけてきた。彼にとってはフィデリオのほうが暴漢らしい。

 睨みつけられたフィデリオは両手を上げ、無罪と無害を主張する。


「アウフムッシェル卿、ご説明を!」

「俺はなにもしていません」

「では何故このような無体を!?」

「見てわかりませんか? 貴方の抱きしめてらっしゃる女が、その手に持ってるもので、殺してやるって脅してきたのよ」

「見え透いた嘘を……!」


 小侯爵に庇われたディアナは、花瓶片を手に持ったまま、呆然としている。真っ赤な顔で唇を震わせ、どうしたものかと困り果てた様子だった。


「嘘ではありませんわ。ディアナが貴方を、」

「やめろ」


 フィデリオは私の口を覆った。

 それ以上言うな、というフィデリオの意図を悟り、私はおとなしく引き下がる。

 しかし、これでは埒が開かない。

 やがて、小侯爵がディアナの顔を覗きこみ、落ち着かせるような声で言う。


「ディアナ。なにがあったか話せるかい?」

「え、あっ……」

「大丈夫だ。僕は君の味方だよ」


 そう囁かれても、まさか馬鹿正直に「貴方に恋をしているのがばれてしまったの」なんて言えるわけもない。ディアナの頭の中は、恥と怒りと混乱とで、ぐちゃぐちゃになっているようだった。

 仕舞いには、その色違いの瞳から涙が滲み出てきた。ぎょっとした小侯爵になにも返せず、「うっ、うう」と無様に泣いている。

 収拾のつかない酷い状況だった。足下の惨状すら絶景に見えるほどの地獄絵図である。


「……とりあえず、今日のところはお二方ともお引き取りください。ディアナ、行こう」

「っだめ」

「え?」

「だめです、ノイモンド」


 そう訴えながらも、ディアナは私たちを見ていた。

 こんな赤っ恥を掻いても、ディアナは冷静な部分を残していて、このまま私たちを帰してはまずいと判断した。なにがなんでも口止めせねばなるまいと、その強い瞳が語っていた。

 ただ、恨みがましいディアナの横顔に、訝しく思うのは小侯爵だ。このままだと、フィデリオが侯爵令嬢を襲った罪にでも問われそうである。

 私はフィデリオの手を掻い潜り、ディアナへと語る。


「ディアナ。私は貴女のことなんてどうでもいいから、いらぬ心配はよしなさい。貴女の気が済まないと言うなら、説得されてもいいけれど、私は小侯爵に用があるの」

「何故」

「祝福について伺いたいことが。できれば二人だけで話したいわ」

「許しません」

「なら、貴女も同席なさる? 貴女だって私と話したいことがあるでしょう」


 ディアナは小侯爵を一瞥した。私に口止めをしたいが、彼が同席しては意味がない、ということだろう。

 ややあって、ディアナが静かに告げる。


「……ノイモンド、プリマヴィーラ嬢と話があります。貴方はここにいて」

「大丈夫なのか?」

「大丈夫です。それと、アウフムッシェル卿はなにも悪くありません。責めないであげて」

「本当に?」

「本当に。ただ、アウフムッシェル卿、」

「わかっています。他言無用」

「お願いしますね」


 私とは直接話さねば気が済まないくせに、フィデリオはその言質だけで納得するらしい。信頼の差があまりにも顕著だった。


「プリマヴィーラ嬢。部屋を変えましょう」


 私はディアナに連れられて、別室へと移る。

 窓と暖炉のある小部屋で、古びたテーブルと二脚の椅子があるのみの、シンプルな部屋だった。物置部屋というには物が少なく、休憩室というにはこじんまりとしすぎている。

 ディアナが椅子に腰かけたので、私も向かい合わせになって座る。対面のディアナは無表情で、顔の赤みも引いていた。


「少しは落ち着いたようね」


 私が声をかけても、ディアナは答えなかった。

 ただ、どこを見ているともわからない眼が、一度ゆっくりと瞬かれた。


「さっきも言ったとおり、貴女が小侯爵を好きだからって、私にはどうでもいいことよ。まあ、天下の聖女さまが一人前に恋だなんて面白いけれど、わざわざ吹聴する気もない」

「……馬鹿な女だと思っているんでしょう」


 やっとディアナが口を開く。

 私は足を組み、背凭れに身を預ける。


「勝手に嫉妬して、見破られても取り繕えなくて、しかも相手が幼馴染なんて、愚かで醜くて救いようがないって、嘲っているんでしょう」

「嘲ってはないわ。人間生きていたら嫉妬に狂って殺したくなることくらいあるわよ」

「貴女にはわからない」

「どうかしらね」

「最悪です。誰にも知られたくなかったのに」

「きっと私たち以外誰も知らないと思うわ。上手く隠したものよね。あの様子だと、小侯爵だって気づいていないでしょう」


 ディアナと小侯爵は親しい間柄に見えるが、そこに男女の恋愛のような雰囲気はない。どこまでも慈しみに満ちた、兄妹のような絆があるだけだ。


「ええ。ノイモンドにとって、私は、守らなくてはいけない、可哀想な女の子でしかない。愛や情はあっても、恋や好きではありません。たまたま近くにいて、自分しか味方になれる人間がいなくて、だから私のことを大事にしてくれた」

「…………」

「わかってる。私のことを特別愛してくれているわけじゃなくて、彼の真心がそうさせているだけ。まさか私が自分をそういうふうに好きだなんて、彼は生涯思いもしない」

「……貴女はあの方が好きなのに、帝国に嫁ぐつもりなのよね。いいの?」


 ディアナは運命への復讐のため、帝国の皇后の座を狙っていた。海を超えた異国の地で、想い人ではない相手の妻になろうとしている。


「あの方の性格を思えば、貴女が帝国に行くのだって反対しそうだけれど」

「そうですね。また私が家の言いなりになっているのではないかと、ノイモンドは心配しています。リーベ王室の次は帝国に売り飛ばされるのではないかと」ディアナは苦く笑った。「そんなわけないのに……彼はなんにもわかってないんだわ」


 小ぶりな膝の上に置かれたディアナの手が、固く握りしめられる。純白の外套ガウンに皺を作った。


「貴族の娘の私が地位を得るには、婚姻しかない。結局は、好きでもない相手と結ばれることでしか、目的を果たせないのよ。だから、私だって、割り切ってるのに、彼ときたら、私には幸せになってほしいだとか、本当の愛を知るべきだとか、わからず屋」


 平静を取り戻したはずのディアナの瞳に、再び熱が籠る。ゆらゆらと陽炎のように震え、睫毛の先を濡らす。


「わからず屋、貴方のせいよ」


 そう言って、またぐずぐずと泣きだしたディアナに、私は宙を仰ぐ。

 馬鹿にするつもりも嘲るつもりもない。

 ただ、面倒臭いとは思っている。


「はあ。いつもの聖女のふりはどうしたのよ」

「貴女には、全部無駄でしょう」

「慰めないわよ」

「慰めなんて、いらない。私がみじめになるだけです。どうせ叶わないから、誰にも、知られたくなかった、のに、よりにもよって貴女に、最悪よ、死んでしまえ」

「そこは自分が死んでしまいたくなるところじゃないの? しぶとい女ね」


 報われない片想いに涙する無様な姿を見ていると、こっちまで無様な気持ちになってくる。

 最早面白がるどころではない。ディアナの痛ましさは我が身を苛むに値した。うっかりハンカチを差しだしてしまいそうになる。

 そこで、袖で涙を拭ったディアナが「そういえば、」と目を尖らせる。


「プリマヴィーラ嬢はノイモンドにどういったご用事が?」

「言ったでしょ。彼の《調停の祝福》について聞きたいことがあったのよ」

「何故いまさら、どのようなことを?」


 無様を晒したディアナへの痛み分けの気持ちで、私は白状してやる。


「クラウディアは《真実の祝福》を授かっているわ。彼女が私たちの秘密を暴くかもしれない」


 ディアナは二度、目を瞬かせる。

 どれだけみっともなく泣き喚こうと、この女は馬鹿ではない。一を聞けば十を知り、十を知れば百を考える人間だ。その思考が私を陥れる方向へ導かれないことを祈るばかりだ。


「それで貴女は休学中の彼女の動向を探ろうとしたのですね」

「で、貴女はクラウディアと接触したの?」

「いえ。たしかに彼女は神聖院に来ていましたが、信徒である貴族と交流する程度です。社交界復帰のため、最低限の人脈を維持したと見ています。事実、いま彼女の周囲にいるのは、信心深い方々ばかりです」

「《調停の祝福》は《真実の祝福》を凌駕すると思う?」

「無理でしょうね」ディアナは端的に言う。「ノイモンドの《調停の祝福》は、誓いを交わした両者にしか強制力を発揮しませんから。もしもフォルトナー嬢が《真実の祝福》を使うことがあれば、私たちのあいだにある調停など無意味です」


 そうよね、と自嘲する。

 私たちは互いに不可侵だが、クラウディアは自由に私たちを侵してしまえる。


「……貴女には、フォルトナー嬢が貴女を脅かす予感があるようですね。仲違いをしたそうですが、事態はもっと深刻のご様子」

「話さないわよ」

「聞く必要性を感じません。私には関係のないことなので。いま貴女を陥れたところで、私は帝国の皇后になれますか?」


 やはり私に時間を割くほどディアナは暇ではない。この女が脅威にならないなら、私にとってはありがたい話だ。


「ただ、フォルトナー嬢がそのような方だとは意外です。あまり話す機会はありませんが、他者を貶める真似をするような令嬢には思えませんから」

「貴女と同じよ。猫を被るのが上手いわ。そして、目的のためには残酷にもなれる」

「理由もなく残酷にはなりません。それほどのことが彼女にはあったのでしょう」


 それほどのこと、と言われ、私は押し黙る。

 彼女はフィデリオに恋をしていた。いまもしている。そして、おそらく——時を遡る前も。

 背凭れから身を浮かせた私は、組んだ足に肘を乗せ、頬杖を突いた。対面のディアナを上目に見ながら問いかける。


「……ディアナ。恋ってどんなものなの?」

「からかってるんですか?」

「いえ、私が知りたいだけ。どういう気持ちになればそれを恋と呼んで、恋のために人はどうなってしまうの?」


 ディアナは貝のように口を閉ざす。表情には出さないものの、嫌なことを聞かれたとでも考えていそうな態度だった。よくよく考えれば、ディアナは手に余るときに押し黙る。

 答えてくれないだろうと思ったところで、しかし、ディアナはおもむろに言葉を落とした。


「私はこれを恋だと思ったことはなくて……ただ、彼のくれたものが、私の心のどこかを形作っているんだと、事あるごとにそう思い知るような感覚です」

「…………」

「フォルトナー嬢の懸想の相手はアウフムッシェル卿ですか?」

「察するわよね、貴女なら」

「プリマヴィーラ嬢はアウフムッシェル家の養女でしたか。同じ邸で育ったとなれば、フォルトナー嬢の業腹も道理です」ディアナは淡々と続ける。「ただ、アウフムッシェル卿は、思慮深い振る舞いをなさいますから、あの方にまつわる嫉妬ほど、報われないものもないでしょう」


 自分が標的から外れた途端に饒舌な女だ。

 私が小侯爵に会うだけで嫉妬するような、報われない懸想をしているくせに。


「今日の貴女の痴態に免じて、小侯爵に伺うのは控えてあげる。おそらく貴女の見解どおり、《真実の祝福》は有効でしょうし。私の用件は以上よ。これで貴女の気は済んだ?」

「ええ。クマのぬいぐるみがなくなったくらいで夜も眠れない貴女の醜態を思い出して、溜飲が下がりましたから」

「言うようになったじゃない。さっきまで偲び泣いていたのに、すっかり立ち直ってしまったようね」

「どうせ叶わぬ想いですから、ちゃんと弁えています。そもそも、叶うと思っていたなら、王太子妃も皇后も望んでない。私が彼を好きなように、彼にも私を好きでいてほしかった。そういう夢物語を幾度となく思い描いた」ディアナは静かに目を細める。「絵に描いた夢は、所詮、見ているだけで終わるのです」


 夢から覚めたみたいに、ディアナは憮然としていた。きっと、涙の痕さえ、あと一瞬きで乾くだろう。自我の一切をひた隠す、いつもの完全無欠の仮面を、被ろうとしている。


「花はいずれ散る。雪も次第に溶ける。この感情だって、いつか消えてなくなるはずだから、私はその日を待っています」


 私はおもむろに瞬いて、その目を見て告げる。


「私の知り合いの聖女が言っていたのだけれど、たとえ欠けても月は月だそうよ」


 ディアナはわずかに目を瞠って、しかし、皮肉るように「欠けつづければ、見えなくなりますよ」と答えた。

 新月ノイモンドという名の男に恋をした、とある女の祈りだった。






 私たちは神聖院を後にした。

 まだ日没には遠く、せっかく出かけてきたのだからと、二人でカフェに入ることにした。

 私がディアナと話しているあいだに、フィデリオも小侯爵と話をつけていたようで、多少の訝しさは残るものの、穏便に帰してもらえたという。


「よく釈明できたわよね、貴方」

「本当にね。一時はどうなることかと」

「しれっとカフェまで紹介してもらえるなんて、どんなふうに懐柔したのよ」

「人聞きの悪い。誠心誠意お伝えした結果だよ。俺の口からは憚られるから、詳しくははミットライト嬢に……とは言い訳はしたけど」


 いま私たちのいるカフェは、新興貴族の手がける事業で、庶民を中心に貴族令嬢にも人気があるのだとか。

 シックザール小侯爵が資本金の一部を投資をしたらしく、彼の名を出せば二階の特別席に通してくれた。

 純白のクロスのかけられた丸いテーブルの上で、私は珈琲コーヒーを、フィデリオは紅茶を楽しんでいる。


「それで、君の用事は終わったの?」

「ええ。付き合わせて悪かったわね」

「俺が勝手についてきただけだから。あんなことになるなら、ついてきて正解だった」

「貴方がいなくとも、小柄なディアナくらい、私だって殴り飛ばせるわ」

「ほらね。ついてきて正解だった」


 熱いカップを起き、窓硝子の外を見遣る。

 すぐ真隣にバルコニー席がある、日当たりのいい位置で、冬の彩の月の天高い雲がよく見えた。昼間とは思えないほど薄暗い天気だけれど、雨の匂いはしない。


「……お礼と言ってはなんだけれど、もし貴方がどこか見て回りたいなら、付き合ってあげてもいいわよ」

「そう? じゃあ、タイを見に行ってもいいかい? シャリオットからデビュタント用の服を一式借りようと思ったんだけど、タイがちょっと、俺には派手すぎて」

「まさかそのために新しく揃えるの?」私は目を眇める。「貴方がそこまでする義理はないでしょう」

「似合わないタイで恥を掻くのは俺だぞ」


 だから、そこまでする義理はないと言っているのだ。手持ちの服で適当に終わらせればいい。

 私は斜め上へと視線を投げ、低くため息をつく。


高級仕立服オートクチュールで頼む気じゃないでしょうね。そんな手間をかけるなら絶対に付き合ってやらないわ」

「さすがに既製品にするよ。たったの一回のために仕立ててもらってたらきりがない」


 フィデリオが少し眉を顰めた。

 この男にも億劫な感情はあるらしい。


「はあ。手持ちで済ませられたら楽だったのにな。半分くらいは君のせいだよ。君が普段から明るい色のものも着ていたら、俺だってここまで困らなかった」

「似合わないのよ。明るいのも、淡いのも」

「いつもそう言うけど、淡い色だってよく似合うと思うよ。ほら、君、象牙色のドレスを持っていたろ。あれとか」


 フィデリオの言っているのは、ところどころにスカラップと大振りのフリルのついた、あのドレスのことだろう。たしか、去年の秋、マルゴット・ファザーンに会いに行くときにも着ていたはず。

 珈琲コーヒーの暗い水面を眺めながら、私は返す。


「ああいうのはフェアリッテみたいな子が似合うのよ。私のくすんだ髪色だと、ちっとも映えないの。溶けてなくなってしまうわ」

「そうかな」

「そうよ」


 だから、あれを着るときは、色物のショールを合わせるのだ。差し色が一つもないと、靄が歩いているような、なんともまぬけな感じがするので。


「でも、君はこう、目が」フィデリオが自分の眦をなぞる。「ペン先で描いたみたいにはっきりしているから、かえってちょうどいいんじゃない? 爽やかで明るい印象になりそう。それに、差し色なら、君の瞳だけでじゅうぶんだろ」


 私は窓硝子に映る自分の顔を見る。

 おそらく私の顔は母親譲りで、ブルーメンブラット辺境伯は母を「険のある美人だった」と語っている。つまりは私もそういう顔なのだ。

 ただ、フェアリッテのような可憐さや柔らかさはないので、表情を作っていないと不機嫌そうに見えるらしい。ジギタリウスは初対面のころに「水妖のよう」と評しているし、最近だとカトリナから「黙っていると、ちょっと怖いときがある」と言われた。

 私が再び視線を戻すと、フィデリオは紅茶の水色すいしょくを眺めていた。蜂蜜色の瞳に赤みが差している。人好きのする甘い瞳だ。

 その瞳がすっと私を見た。


「そういえば、君、今回の試験結果について、乳母やお母様にどう説明する気?」

「やめて。その話はしたくない」

「せっかく去年まではそこそこの成績でいたのに、もうに逆戻りだ。いよいよ言い訳も苦しくなってきたろ。真面目に勉強したら?」

「むしろいままでよくもったほうよ。言い訳なら考えてあるわ。試験範囲にオペラはなかった」

「それはシャリオット。ずいぶん気に入ったんだな、その文句」

「まず語学の試験範囲が広すぎたわ。エルガー古語なんて第一学年で習った以来なのに。それに、数学のオーマン先生が意地悪なのよ。最終設問の応用問題なんて、あのひとの底意地の悪さが全面に出てたわ。経営学にしたって、記述の多さのわりに、試験時間が短すぎたし。そもそも、ペンが不安定で書きにくかった! ラムールで買ったペン先よ、私のペン軸に合わなかったの! 回答用紙の紙だってどうせ安物だわ、あんな紙じゃつっかえて文字が書けない!」

「はあ……」


 どんどん語気の荒くなる私に、フィデリオは深いため息をついた。珍しく、椅子の肘かけに肘をつき、だらしなく体勢を崩す。


「人ってそう簡単には変わらないんだな……俺はいつまで君に手を焼いていればいい?」

「貴方のそういうところも嫌。試験の結果がよくないと、貴方の小言が待ってるんだわって、全然集中できなかった!」

「高が俺なんかの言葉が、君の頭のどれだけを占めてるんだ。他責はやめて努力しなよ。未知なるものを身につけると、自分自身が豊かになる」

「私がなんの努力もしていないかのように言うのはやめてくれる? 私だって努力してるわ」

「へえ? たとえばどういうふうに?」


 フィデリオの態度は呆れまじりで、ちょっと小馬鹿にしたふうな声音でもあった。

 この男はいつまで私のことをみくびっているつもりなの。

 私は仏頂面で腕を組む。


「……乳母には日ごろから感謝を伝える。馬に乗れないのに、私を迎えるために、浜辺まで歩いて来てくれるから」


 フィデリオが目を瞬かせる。

 私は腕をほどき、指を折りながら、思い出すようにして数えていく。


「パトリツィアから手紙が来たら、なるべく早く返す。筆まめな彼女は、返事が遅いときっと気にする。カトリナと歩くときは歩幅を合わせる。彼女はおしゃべりで、私のペースで歩いていると、すぐに息を切らしてる。フェアリッテは、嫌なものは嫌って正直に言ったほうが、けらけら笑ってくれるわ」


 一つ一つ折り数えるのを、フィデリオは口を挟まずに黙って聞いていた。

 私がいつまでもなにも知らないでいると思ったら大間違いだ。この男の思慮深さにだって、私はもう気づいていた。

 フィデリオは、相手が本当に嫌なことは、絶対に口にしない。間違って口に出したとして、いっそ大袈裟なくらい気にしてしまうのだ。

 雨の中でも走って迎えに出るし、どんなに怒っても、きっと最後は馬車を用意するだろう。

 体を冷やさないようにそっと帰らせるのも、危険なときに庇うように前へ出てしまうのも、真摯な彼の真心の形だ。

 自分のできる誠意の範囲で、相手に寄り添い、真心を差しだす。いつか彼が私に教えると言ってくれたこと。


「愛するって、こういうことでしょ?」


 ずっと静かに聞いていたフィデリオが、ややあって、目を細めるようにして、力なく笑う。肩を落としながらも、どこかしみじみとしている様子だ。


「俺の努力も少しは報われたかな」

「私の努力よ」むっとなって突っ返した「自分の手柄みたいに掠め取らないでくれる?」


 そんな私の減らず口すら面白がって、フィデリオは嬉しそうに目を閉じる。私が隣人愛を覚えたことが、よほど感激だったらしい。

 彼にとって、プリマヴィーラ・アウフムッシェルとは、ブルーメンブラットの私生児でも妹でもなく、面倒を見なきゃいけない、手のかかる女の子だった。

 そんな私だって、すでに理解している。これまで彼が、その思慮深さで、どれだけ心を砕いてくれていたか——彼はそういう男だ。


「この一杯が終わったら出ようか。外でずっと待機してる御者が可哀想だ」


 彼の真心がそうさせているだけで、私を特別に愛しているわけじゃない。

 蜂蜜色の瞳はどこまでも真摯だ。

 ディアナの言うとおり、誰に対しても思慮深く、嫉妬なんてするほうが馬鹿を見るような。

 フィデリオ・アウフムッシェルは、そういうひとだった。

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