Bルート

Bルート:第1話

間違って飛んで来た方は此方

https://kakuyomu.jp/works/1177354054922441816/episodes/1177354054922446769


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 駄目だ。足が竦んで此処から動けそうに無い。



 ああ、誰か助けて、誰か助けてくれ!



 こんな所で死にたく無い! 神様! 許してください!



 そう僕は恐怖と混乱の中、精神が耐えられなくなり気絶した。



 しかしその瞬間、誰かの叫び声と轟音が僕の目を直ぐに覚ました。



「でりゃああああっ!!」


 その叫び声に目を開けると、白骨体に大軍に囲まれている僕の真上から炎を纏わせた剣を持った、赤い甲冑の剣士が飛び込んで来た。



 炎を纏った剣は剣士が着地する勢いで地面に突き刺さると同時に衝撃波が巻き起こり、僕を囲んでいた白骨体を全体的に退け反らせると、次々と剣で白骨体を切り裂いて行く。



 剣士は此方を振り向かずに僕に声を掛ける。



「お前、なんてところで寝てんだ?」


 

 だが僕は気絶した直後で余りの突然の出来事に脳の処理が追い付かず、剣士の質問に何も返せなかった。



「まぁ、良いや。お前はそこで見ていろ! 全部ぶっ倒してやるぜ! うおおおぉ!!」



 剣士は炎の纏った剣を勢い良く地面に突き刺すと、剣士を中心に大爆発を起こし、周囲の白骨体が一瞬で灰とかする。


 

 しかし、僕が出現させた白骨体はそんな一撃でどうにかなる様な数ではなく、剣士はその数に少し圧倒される。



「おいおい、例え雑魚とは言えどんだけ居るんだこりゃ? お前、まさか魔物呼びやすい体質とかじゃねぇだろうなぁ!? ま、別にそっちの方が燃えるんだけどっ!」



 僕は理不尽な疑いにまた嵌められるのかとビクリとするが、真意はその真逆で、剣士はそれに更にテンションを上げる。



「そろそろ終わらせてやるよ……世界を焼き尽くせ! 劫火滅陣ごうかめつじんッ!!」



 剣士は剣の切っ先を真上上空に向けると、たちまち剣を纏う炎をが激しくなり始め、周囲を照らす程に明るく、眩しい炎の剣になった後、剣士はそれを両手に構え、思いっきり遠心力を掛けながら大回転斬りを繰り出す。



「ぶっ飛べえええええ!!」



 その大回転斬りは、一瞬だけ剣士の周囲に炎の渦を残すと直後、連続的な爆発が剣士の余りで弧を描く様に小爆発を起こし、次々と白骨体吹き飛ばして行く。



 さらに、爆発の影響を受けたさらなる小範囲の白骨体はもう一度爆散。次に爆散と一箇所に固まっていたお陰か、爆発の連載が発生する。



 僕はそれを見て感動していた。まるで映画の様だと。



「ヒュー。爽快だなぁ……」

「あ、あの、貴方は……」

「俺か? 俺の名はアッシュだ! お前は?」

「ぼ、僕は鴉谷影です……」

「カラスダニ……? 面白え名前だな! いやぁ、にしても大量だったなぁ。雑魚とはいえ侮れねぇぜぇ。経験値もそこそこだったな」

「経験値……? 此処はゲームの世界何ですか?」

「げぇむぅ? んだそりゃ?」



 今頃ゲームの存在も分からないなんて。いや、若しくは無い?



「いや、なんでも無いです」

「所でだ。お前はどうしてこんな所に寝ていたんだ? 見たところそこまで強そうには見えねえが……」



 ゲームも分からないのでは此処は恐らく自分が住んでいた世界では無いと僕は考える。でも僕はなぜ寝ていたのか正直に答える。



「僕はさっきまで、チンピラボコボコにされてしまいまして……病院に運ばれたんですがそこから記憶がありません」

「つーことは、病院に運ばれたのに気が付いたら此処に居たと。にしても近くに病院になんてねぇけどなぁ……もし此処がお前にとって大切な場所なら死んだ筈のお前を此処に置いていったとか」

「死んだはず……? どういう事ですか?」

「あー死んだはずのやつに言ってもどうしようもねぇんだけど、病院では対象者が死亡と診断された場合、埋葬するか眠らせるか遺族が選ぶんだ。大体はいつまでもその姿見ていたいからって理由で体が腐らない様に時間停止魔法で処置をし、遺族にとって特別な場所に置くって権利があるんだよ」



 まるで僕が住んでいた世界のエジプトのミイラみたいだな……。でも生身のまま保管するというか、魔法がある時点で此処は完全なる別世界だ。



 ただ僕はアッシュの話を聞いてその可能性は低いと考える。



「そうですか。でもそれは違うと思います……」

「なんで分かるんだ?」

「僕にとっての家族なんて……もういない様なもんですから」

「あちゃー、訳有りってやつかー」



 幾ら僕が虐められていると相談しても親は知らん顔。幾ら傷や腫れ上がった顔があっても不幸な事故の一点張り。教師も役に立たない。勉強しろというばかりで話になら無い。



「なるほどね。つまり、今お前はやる事が無いって所が? なら、俺らの所来いよ! 特に理由は無えが、何かやらないよりはマシだろ?」


 

 此処でいつまでも彷徨っても次の夜が来ればまた同じ事になる。僕はアッシュについて行く事にした。



《レベルアップしました》

Lv1→2


【体力】:150【筋力】:16


【速度】:14 【感覚】:7


【知能】:22 【精神力】:19


《スキルを習得しました》

【火炎魔法の素質】Lv1

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虐め殺された僕は異世界に転生したので、もう一度やり直します。 Leiren Storathijs @LeirenStorathijs

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