ストゥラトゥム・カルパー・テルミヌス
自覚無き最初の神、コウマクノウキン
ここはとある物質世界の宇宙の何処かに存在する銀河系。
その銀河系の何処かにある恒星系に属する惑星の一つに、後にコウマクノウキンと名付けられる菌類が存在した。
このコウマクノウキンの最大の特徴はその体積だろう。
惑星地表面の凡そ三割という広大な身体を持っているのだ。
この広大な身体を齟齬無く動かす為、コウマクノウキンはさらに特徴を持つ。
いや、その能を持っていたからこそ、ここまで広大な身体を持つ事が出来たのだろう。
それは、惑星地表面三割にも及ぶその身の内でやり取りされる情報を、タイムラグ無しで行えるというものだ。
悠久の時の流れの中で、惑星で静かに暮らし続けているコウマクノウキンに転機が訪れた。
宇宙開拓時代へと突入し、銀河開拓時代と呼べる時代へと突入した知的生命種の来訪である。
銀河を股に掛ける彼らはコウマクノウキンを発見し驚喜する。
タイムラグが一切無い情報網の構築。
宇宙という無限とも言える広大な範囲を開拓するようになった彼らからすれば、喉から手が出る程に渇望した技術を得る事が適うかも知れない。
それを可能性で終わらせないと思わせる生物を発見したのだ。
そして始められる実験と検証。
その結果、コウマクノウキンをさらに成長させ、彼らが住んでいた惑星全てを活用した惑星クラスの演算装置が完成した。
さらに株分けを行い、別の惑星も演算装置としていく。
この複数の演算装置と化した惑星群により銀河演算システムが完成した。
これにより、不可思議を優に超える演算能力を得た事で、コウマクノウキンと呼称された演算システムは、思考上で世界を演算出来る様になる。
これがこの物質世界に於ける下位世界誕生の経緯である。
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