無際限の摩訶
現実世界
人類は自身が住まう母なる母星を飛び立ち、その星を内包する恒星系から羽搏き、何時しか銀河を股に掛けて旅をする様になった。
そんな彼らの科学技術の進歩は、何時からか神の領域へと手を届かせる様になっていく。
遺伝子を組み替え、新たな生命を生み出す。
光の速さを越えた移動方法の確立。さらには空間跳躍や時間の遅滞まで手に掛ける様になった。
そしてさらに、自らから発生する摩訶不思議な物質を発見する。
この物質を発見した科学者により摩素と名付けられる事になったこの物質は、その名の通り摩訶不思議な存在だった。
自分たち人類種はもとより知的生物、果ては生命活動を行うもの全ての存在から、発生することが発見されることになるこの物質は世界を満たしていた。
科学者はこの果て度も無い世界に満ちているこの摩素を発見し、その発生源を一つ特定する度に狂喜乱舞した。
これをエネルギーとして使用出来る様になれば、生物が居る限り枯渇する事の無い、無限のエネルギー資源を得る事が出来ると。
人類種は遺伝子改変、肉体改造等によってより長く生き、より高い能力を手に入れていたが、そんな彼らの生活を支えるべき資源の確保に難儀をしていた。
無限とも思える遠大な宇宙に漂う無数の星々だが、彼らが使用する資源たり得る資材を内包する星はそれほど多くは無かったのだ。
特にエネルギー資源として使用される様な資源の消費は著しく、銀河規模で発展している知的生命体の生活を支える為に、常に宇宙を飛び回り新たな資源採取地を模索し続けている様な状態だった。
そんな中発見されたのが摩素である。
この摩訶不思議な物質を発見した研究者だけではなく、この研究者が所属する恒星国家、その上位組織の銀河連邦までがこの研究報告に沸いたのは言うまでもないだろう。
時は過ぎ研究開発は更なる段階へと進む事になる。
人類は自らの神秘の解明だけではなく、世界の神秘にも手を掛ける事にした。
世界創造
ヒトは自らの手の平に収まる小さな小さな世界の創造を為し得た。
この物語はそんな数多ある無限エネルギー発生装置と呼べる、小さな小さな世界の一つの中の話。
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