第8話:復讐

 尋問室の中まで、眼を潰すほどの圧倒的な光が押し寄せてきました。

 眼が焼かれただけでなく、脳にまで光が突き刺さります。

 眼が火で焼かれるほどの激痛と、脳が爆発して破裂したかと錯覚するほどの激痛が、王都中の人間を襲っているでしょう。

 御姉様の虐めに関係していなくても、王都に住む人間は、全員同じ痛みと苦しみを感じているでしょう。


「うがあああああ、眼が、頭がぁああああ」


 騎士長も含めた全近衛騎士が、その場でのたうちまわっています。

 もし生き残れたとしての、何十何百日後に高司祭の奇跡で痛みから解放されたとしても、脳まで焼き切れた視力を回復するのは不可能です。

 王都に住む十万の者、全員が急に盲目になるのですから、まず生き残れるはずがありません。


「くっくっくっくっ、天罰ですよ騎士長」


 もうなにを言っても脳を破裂させたような痛みで理解できないでしょう。

 次は御姉様に攻撃魔術や呪術を放ってきた相手に、十倍にしてお返しです。

 普通の術者は全力で魔術や呪術を放つのですから、十倍返しならまず防ぐことはできませんが、もしできる技量があったとしても、眼と脳を焼かれた激痛苦の状態では、能力通りの防御は不可能です。


 次は生徒共に仕込んだ魔蟲をもっと活性化させてあげましょう。

 身体中を徐々に魔蟲に喰われ、卵を生みつけられる激痛は、狂うか死ぬか以外に逃れる道はありません。

 魔蟲は宿主を求めて近くの人間に入り込みますから、生徒の家族も寄生されて激痛に七転八倒する事になるでしょう。


 止めに疫病を持ったネズミとカラスを放ってあげましょう。

 違う種類の疫病だから、王家の秘薬であろうと、魔蟲と併せれば三つ以上必要になりますから、とても数が足りなくなります。

 そもそも魔蟲は秘薬で治せる病ではありません。

 魔蟲を取り除きたければ、身体中を切り刻んで、内臓はもちろん皮膚の下まで、親魔蟲と幼虫と卵を取り除かなければなりません。


 さて、これでこの国が滅ぶのは確定ですから、後は御姉様と幸せに暮らすだけ。

 もちろん御姉様を癒してくれる犬と猫は一緒です。

 私が放った疫病と魔蟲がやってこない場所に楽園を確保しましょう。

 両親や一族一門に興味はありませんから、苦しみ死ねばいいのです。

 まあ、あまり殺し過ぎては、御姉様が正気を取り戻したときに気にしてしまいますから、被害は王都に限りましょう。


 ただ、王家には、私の知らない秘薬や秘術があるかもしれません。

 有力貴族も同様ですから、監視の目を放ちましょう。

 疫病を広めるネズミとカラスに、虐めをやった連中が確実に死んだか見張らせる。

 さあ、後は御姉様と幸せに暮らすだけです。

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誰よりも優しい御姉様が虐めで壊れました、みなさまには生き地獄を見て頂きましょう。 克全 @dokatu

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