『なろう小説』に浸食された世界で、ヒーローはもがき、闘う!

 努力なしで叶う希望を! 根拠なしで手に入る富を!
「この社会をひっくり返す! 僕たちが正しいことを証明する!」
 そう叫んだ彼らの手には、スマホや「なろう小説」があった!
(※本編より一部、文章をお借りしました)

 物語の主人公、恢復(なおる)君が闘うのは、上記に書いたような人たちです。彼は「努力することをやめたくない! 努力を重ねることで成功を勝ち取りたい!」と願い、全力で頑張る学生です。そして、ネットで『「なろう小説」ではない小説』を書いている。

 ちょっとタグを見てみてください。この作品が、現代日本を強烈に風刺したものなのか。作者さん自身の考えを活字に載せ、情熱的に発信したものなのかは、わかりません。ですが、かなりハードなテーマを(つまりストレートに取り上げるのには、なかなかに思い切りが必要なテーマを)扱いながらも、「この先、どうなるんだろう?」と次々とページをめくりたくなる、物語としての面白さを秘めていることは確かなのです。

「なろう小説」に特別な思い入れのある方も、一家言をお持ちの方も、私のように「なろう小説」の定義もよく知らない方も、とにかく第二章(※作者さんの表記では第二話)まで読み進めてみませんか。
 私など、なろう小説中のナーロッバ(ご都合主義ゆえ、登場人物も周囲の景色も、舞台の書き割りみたいにペラッペラ)に特殊な機械を使って潜行した恢復君が、志を持って暴れ周り、破壊して回る━━ってシーンを読んで、面白い設定だなあと、ガゼン先を読む気になりました。

 折しも「親ガチャ」なんて言葉が登場した今この時に、読んでみるにはぴったりな作品かもしれません。