雨乞いの火種
倉井さとり
雨乞いの火種
アザミは
「こら!
突然、アザミは
(うるさいなあ! それにゆっくり走れって
「いいか
先生はゆっくりとのたまい、その
「
アザミは
「わかったってぇ~」
血を
アザミの
スミレは
「
ひったくるように
「わかったよぉー。ていうか
(昔はこんなしゃべり方じゃなかったのに……)とアザミは、小さい頃のスミレを思い浮かべた。すると自然と
スミレは悪びれもせずに「せっかくの
「小さな
アザミは
「もう、大きい声出さないでぇ。ふふ、でもぉ今どきラブレターなんてね~」
「
「ううん~。でも
「せめて
「
「……」
「
「
「まぁ、どっちも
「うるさいな」
「
「自分のタイミングってもんがあるの」
アザミは思った、スミレの言う
アザミにとってこれが
きっかけは
スミレは
アザミたちの高校は
ある時、アザミが
それから、
いつから
そのうちにスミレもアザミの
今回のように
スミレは昔からよく、アザミを出し
しかし、スミレが誰かのために
――えぇ~、タイプじゃないよ~、
スミレはどちらかというと、ノリの軽い男が
「
スミレが言った。
アザミは、
「
「べっつにぃー」
スミレはへらへらとした
「それと
スミレは
「そうだっけー?」
(
スミレは
「
「思うんだよねぇ~わたし、
「ちょっと、なに
「まぁ聞きなってぇー。
「
「そこは自分で
「みんな、ちゃんと戻さないんじゃない?」
「わたしは、そこがおかしいと思うわけよー。
「……」
アザミは
「自分は楽しむだけ楽しんで、読み
「だからって、あんたがサボっていい
アザミは少し
「そうかなぁ?
「あんたのサボりだって同じことでしょう」
「わかってないなぁー」
「
「
「そんなの……」
アザミが言い返そうとした瞬間、スミレは
「ちょっと! まだ話はっ……!」
アザミも、スミレを
スミレはくるっと
「それ、
スミレは、アザミに
(なにが
アザミは、スミレの後ろ姿に目を
学校の人間――
だから、スミレがどんなに
見も知らぬ
アザミにはそれが――
アザミは、
「
アザミは、自分の
「ス、どうしたの、アザミさん」
「……申し訳ないんだけど、
言いながらアザミは
「また、
「うん、ごめん……」
「きみが
「
「いつもごめんね」
「だから
「
「うん、
アザミには言葉を
かたりと音を立てて、
「ありがと」
と言ってアザミは、頭を軽く
2人はいつも、受付のカウンターに
「そういえばさ」
「
アザミも
「少し前にスミレさんがさ、きみの振りして話しかけて来たんだ」
「えっ? スミレ
アザミは
「変ってほどじゃないけど……」
「けど?」
「あの子はホラーが好きなんだよ」
と
(どうでもいい
「ふーん。見掛けに
「そうなんだよ。あんなに
「しかも、
「エグいって?」
「血みどろなスプラッターとか」
「いい
アザミは言ったが、それはどちらかというとあの
「確かにね」
「ホントにね。それで?」
「えっ?」
「だから、スミレの話」
「ああ、そうだった」
「どうしたの?」
「……うん……それが、『私のどんな
「なにそれ」
アザミは思わず
「いや、僕に言われても……」
「ああ、ごめんね。つい……」
「ううん。それにしても
「ごめんね、きつく言っておくから」
「ああ、いいよ別に。
と言って
それを見た
その
「それでなんて答えたの?」
出してしまった言葉はもう戻せない。アザミは
「ん、あ、……いや、ほらすぐにスミレさんだって分かったから、
「そう……」
しばしの
それを
アザミはほんの
「お
「あ、……うんうん、ありがとう……お願いします」
どうして
それから1
いつも2人の
アザミにとってもそれは
「僕、絵のことはよく分からないけど、……なんだかすごく
それを言う
アザミは
(
暗い
アザミは、絵の置かれているであろう
暗い部屋にはたくさんの
目が
「あれぇ~、なにぃ~」
アザミは、
「……なにしてんのこんなところで」
アザミの声は少し
「それはお互いさまだよー。それに見たら分かるでしょ~、絵だよぉ絵~」
「ほ、
「ん~、まーねー。でぇ? アザミはぁ?」
「……ん……私も絵だよ、あんたの絵を見に来たの、
「ふふ、
「悪い?」
「ううん、いいと思う、すごく。
「そう。そんなにいい絵なんだ? 見せてよ私にも」
「もう
スミレは、
アザミは
「これ、私でしょ」
「バレちゃったぁ~?」
「
「なにぃ、
「違う」
「それより、帰ろうよぉ、
そう言ってスミレは絵の
「なんでこんな
「ああ、それはねぇ~、
アザミは腹に
「帰りましょ。
そしてスミレは、
それはサイレンだった。
「あ~、
スミレは言って、
「ど、どこ
「
スミレは
スミレはフェンス
スミレは、両手を肩の
その
「キレーねー。花火なんかよりずっとキレー」
スミレは言った。こんなに目を
「
「
あんなに遠くの
アザミは、スミレの顔を
「なんで私の顔を
アザミは、自分の顔が、
「
「や、やめてよ、
「分かってないなぁ~、――
と
「……そもそも、どうして? なんで私たちに
「だってぇ~。自分と同じ顔を
雨乞いの火種 倉井さとり @sasugari
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