突然にただ「ゴッホ」とカタカナ三文字だけを言われても、多くの人は画家のゴッホだろうと察しがつくはず。
それほど有名な彼の人物が、どこで生まれどんな生涯を送ったのか。これはあまり多くの人が知るところでない。
本作の主軸となるのは、まずそのゴッホの生涯。
読者に代わり、知識の旅に出かけるのは若い二人。主人公は菊江さん。パートナーは壽美登くん。
日本に現存する壺と、あの巨匠に関わりがあるのか。調べるうち、ゴッホの見た光景をその目に映すこととなる。
妄想か集団催眠か。不可思議な現象は自分たちの家族にも些かの影響を及ぼす。
他人の人生をなぞり、一つことを深く思い、現実のしがらみに揉まれる。二人は短い期間に、大きく成長を遂げていく。
偉人の生涯を知り、若い二人の恋と成長を愛でる。ひと粒で二度美味しい、入魂の作です。
偉大な芸術家の生い立ちにスポットをあて、現代の高校生二人がタイムトラベルしながらその秘密を探っていくストーリーです。
こう書くと堅苦しくなりがちですが、コミカルな高校生二人のやりとりが楽しく、偉大な芸術家の人間臭いストーリーもポップに描かれてますので、楽しく最後まで読むことができます。
題材も知っているようで知らない人物を取り上げてありますので、意外な一面や生い立ちが知れることも、この作品の魅力かと思います。
芸術と科学の側面から調査したり、時にはすれ違いながらも寄り添う二人のストーリーも見逃せません。特にラストは、静かに感動を引き起こす温かい読後感となっています。
一人の偉大な芸術家も、名を成すまでは苦悩の連続であり、その人生で何を見つけようとしたのか、興味のある方はぜひ一度読んでいただけたらと思います!
皆さんはあの名画『ひまわり』とそれを描いたゴッホにまつわる物語を御存じでしょうか?
主人公菊江ちゃんと幼馴染の壽美登(すみと)くんはゴッホの生を探るため、過去へと遡る時間の旅に出発します。
生誕してからこの世を去るまで。ゴッホの一生を辿り2人の高校生が見たものは一体何だったのでしょうか。
私ですね、この作品ですごく感動しまして、こういったものはぜひ美術の教科書に載せて欲しいです。美術の教科書って普段画だけのように記憶しているのですけど、本来はこういう画家の人生を辿ることで得られると見解という物が存在するのではないでしょうか? 絵を知ることは画家の人生を知ること、そして人生から紐解かれる絵画がある、そのように感じています。
親愛を求め、認められることのない絵を追求し、心の病に侵されながら不器用に生きたゴッホの人生を追った一作にカクヨムをやっていて良かったと心から感動しました。
キャラクター同士の会話も巧妙で、いすみスタイルといいますか、行間を読ませるような会話のやり取り。オリジナリティを追及され読みやすく心を打つ、とても心地の良い物でした。
この作品の溢れる魅力は私の拙いレビューでは伝えきれません。
ぜひ、読んで作品の素晴らしさを感じて頂きたく思います。
とても素敵な作品です。
本作は、誰もが名前は知っているであろうフィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホによって描かれた、ひまわりの絵を巡る物語です。
理系女子・菊江と、芸術系男子・壽美登。
二人とひまわりとの出会いから、不思議な旅が始まります。
不思議なひまわりの壺、フィンセントの弟テオによる手記を手がかりに、二人の精神は過去へ飛び、フィンセントの絵画の謎、その人生さえも追いかけます。
読者も高校生二人の体験を楽しみながら、楽しくファン・ゴッホの絵画と生涯について学ぶことができます。
さらに、二人の家族との関わり、未来への展望、そして恋…と、とても内容の濃い青春物語でもあります。
高校生男女のときめきと美術史の魅力がたっぷり詰まった本作。
美術館へゆっくり足を運ぶように、じっくりと味わってみませんか。