エピローグ 新たなる時代
レムーハ記 ドミー朝伝より抜粋
王の指導の下、旧ムドーソ王国は急速に復興していく。
王の任命した有能で忠実な臣下のもと、汚職は一掃され、新たな産業が勃興し、各地に平和が戻った。
即位20年目にして巻き起こったレムーハ大陸を覆う戦乱【レムーハ大戦】も乗り越え、やがてレムーハ大陸全土を統一する初めての国家として大成する。
何より、減少していた人口が復活したのは大きな功績と言えよう。
王が生んだ子の半分、すなわち50人の男性がムドーソ王国各地に散らばり、成人して女性と結婚し子を成した。
不思議なことに、生まれる子供は男子ばかりで、その男子も女性と結婚して子を成したとされる。
王が即位して30年の間に、男性と女性の人口比率はほぼ半分となっていた。
このようにして世界に平和と安寧を取り戻した王は、後半生は自ら討伐したオーク民族たちとの和平に努める。
特に【草原の王】キリルとは親しく、何度もその住居を訪れたと伝わる。
かくして在位して40年、王は65歳でその生涯を閉じた。
15人まで増やした【ハーレムの誓い】に囲まれ、穏やかな死であったと伝わる。
正妻とされたライナの子、マンシュタインが跡を継ぎ、父の路線を受け継いで国をさらに発展させた。
こうして、ドミー朝は200年にわたり繁栄していくのである。
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後レムーハ記 群雄伝
永遠に栄える国家は歴史上存在しない。
それは、ドミー朝ですら例外ではなかった。
弱体化した王朝を乗っ取った重臣アドルフが簒奪を成功させ、シン王国を建国したのである。
だが、現実離れした政策と、エルフやオークを初めとする異民族に対する弾圧によって統治は破綻し、大規模な反乱軍が巻き起こる。
その反乱軍の中に、小さな数十人の集団がいた。
後に後ドミー朝の創始者となる、ドミー・フォン・アルベルトが率いた義勇兵である。
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「ひいいいい、に、逃げろおおお!」
「政府軍に勝てっこない!」
シン王国軍に押され、反乱軍は平原を敗走している。
悪くない状況だ。
こんな時のために、俺たちはいる。
「さあ!今こそ俺たちが苦戦している反乱軍を救うんだ!始祖ドミー王の血を継ぐこの俺が率いる世直し集団、【新ドミー団】の旗をでっかく掲げようぜ!」
「「「おう!」」」
ごろつきや不良を中心にする荒くれ集団達に俺は呼びかけた。
もちろん、政府軍の大軍を前にしても誰もひるまない。
姿形はみすぼらしくても、熱い心は折り紙付きだ。
国に対して命がけで反乱するんだから当然だが、この集団は男ばっかりである。
その中に、2人の女性がいた。
「さあ行くぞティアナ!政府軍の防御魔法をお前の炎魔法で薙ぎ払うんだ!」
「やれやれ、この絶望的な状況でも諦めないのはあなたらしいわね」
「幼馴染なら分かるだろ?俺は絶望的な状況こそ燃えるんだ!お前を嫁にしたいと言った時のようにな!」
「ちょ…その話は人前でするなって言ってるでしょ!?次言ったら燃やすからね!」
情熱的な赤い瞳、すらりとしたスレンダーな肢体、黒と赤のドレス、先端にルビーを埋め込んだ杖。
1人目は皇族とは名ばかりの貧乏貴族だった俺の幼馴染、ティアナだ。
平凡な町娘だったが、シン王国の暴挙を目の当たりにして、一緒に立ち上がってくれた。
炎の魔法を手足のように扱い、最近は伝説の炎魔法【フレイム】を会得している。
ちなみに、告白の結果、妻ではなく彼女からのスタートとなった。
「り、リーゼロッテも行きます!」
「おう、リーゼロッテも頼むぜ!破った防御陣から突撃して、政府軍の指揮官を討ち取る!」
「はい!あなたさまの第2婦人として、誠心誠意尽くします」
どんな男もイチコロにするやさしい表情、さらさらとした白い髪、ふくよかに育った肢体、両手で構える長い槍。
2人目は政府軍に略奪を受け殺害された地方貴族、フィッシャー一族の生き残りであるリーゼロッテだ。
スキルを無効化する伝説の金属、【ラグタイト】を埋め込んだ【黒槍】を武器としている。
彼女を助けた結果【新ドミー団】に弟子入りしたわけだが、「第2婦人からでいいので付き合ってください!」と言われ、なし崩し的にこうなった。
幸い、ティアナとは仲が良い。
シン王国を妥当してから、改めて決着をつけると誓いあったそうだ。
「じゃ、いつも通り!」
「や、優しくしなさいよ」
「アルベルトさま、リーゼロッテに勇気を…」
ティアナのうなじ、リーゼロッテの二の腕に手を添える。
「ひうん!」
「あっ…」
俺の両手に抱かれたティアナとリーゼロッテが嬌声を上げ、体を震わせる。
同時に、二人の体が光り輝き、力が強まるのを感じた。
どうやら、これが俺のスキルらしい。
ドミー王が行使した伝説のスキル【ビクスキ】と似ているそうだ。
これも何かの思し召しだろう。
この混沌した世界に、平和と秩序をもたらして見せる。
「…いつものように気持ちよかったわ。ほめてあげる」
「リーゼロッテ、終生あなたさまと共にいます」
2人の準備も済んだようだ。
俺は大型の盾を構え、呼びかける。
「いくぜ2人とも!」
「「全てはあなたのために!」」
「ごろつき共もそのあとから続け!」
「「「おうさ!!!」」」
「「「うおおおおおおお!!!」」」
めい一杯の声を張り上げ、俺たちは新たな時代に向かって突き進んでいく。
過去存在した、無数の英雄たちのように。
「「「俺たちの戦いは、これからだ!!!」」」
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ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!
旧約は完結しましたが、事前に宣言した通り、リメイク版の新約を第2章まで書き切るつもりです。
【新約】ビクスキ!女性しかいない異世界で虐げられてきた俺、最強の《触れた女性をビクンビク〇させるスキル》でざまぁ+成り上がり
https://kakuyomu.jp/works/1177354054992481156
残り10話程度書き切ってから、ビクスキ!は完全に完結となります。
4月~5月中に完了しますので、もう少しだけお付き合いいただけると幸いです。
正直、想定外のことも色々ありましたが、物語をいったん完結できたのは、ずっと応援してくれたみなさんのおかげです。
本当にありがとうございます。
これからも新たな物語を発信していくので、よろしくお願いします!
【旧約】ビクスキ!女性しかいない異世界で虐げられてきた俺、最強の《触れた女性をビクンビク〇させるスキル》でざまぁ+成り上がり ゴールドユウスカイ @sundav0210
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