第80話 新たなる旅立ち

 おれの臨時教師業も無事なんとか終了。

 オーガを派遣業という名の重機扱いで共和国の発展に組み込んだことも列記しておく。


 おれに弟子入り希望した学生10人は、卒業したら共和国へ訪ねて来いと言ってあるので、当面おれが直接面倒をみる必要もない。


 これで安心して共和国へ帰還してもいいのだが、おれは原点に戻ってあちこち行商の旅にでることにした。


 この世界の隅々まで旅をして回るという夢というか希望をまだ叶えていないからだ。


 嫁というか婚約者たちにはいつでも会える。転移すれば済むのだ。


 だからおれは、再び一人行商することにした。


 共和国と商会の運営などやりたい奴に任せればいい。


「よおし! いくかあ!」


 新たな気持ちで背負った荷物(単なる偽装でしかないが)と共に第一歩を踏み出した。


 目指すは前人未到の大陸奥地。


 おそらくネルケの奴もこっち方面に逃げたはずだ。

 縁があればまた出会うことになるだろう。


 



~共和国にて~


「キンタさん、帰ってきませんねえ……どうしたんだろ」


「ダーリン……なにかあったのか?」


「事故じゃなきゃいいんですが……」


「なあに……またひょっこりと帰ってくるさ。これだけ美形揃いの婚約者を捨ててくたばるような奴じゃない」




 キンタ商会代表、キンタ…… 後世伝説的人物とたたえられた『異世界人』 


 前人未到の奥地へと足を踏み入れた彼が、新たな異世界へと旅立ったことを彼女らは知らない。



*****


 本作完結です! 長らくご愛読ありがとうございました。


 


  



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よろずや放浪記 IN 異世界 壬生狼 @miburo

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