タッキーの相続奮闘記

@ru274

第1話それぞれの出会い

私は山本滝江37歳、デパートで8時から23時まで365日勤務していたわ。3年前に川西敬一という本社からやって来た部長にプロポーズされたの。あんまり急すぎてパニックになって逃げ出してしまったわ。コレは次の日のラインよ…。

敬一『昨日は急にプロポーズなんて…申し訳ない。』

滝江『私こそビックリしてしまって…💦色々壊してしまったらしくてご免なさい。』

敬一『そんな事は気にしないで下さい。まァ…てっきり、笑顔で承諾してくれると思い込んでいたから…少しショックはあったけど…』

滝江『すみませんでした!本当にご免なさい…💦』

敬一『それで…今なら落ち着いて考えてくれるだろうか…』

滝江『プロポーズの返事ですね…』

敬一『僕は次男だし、本家は姉貴が継いで、旦那とキウイフルーツ農家御殿で両親と仲良くやってるし…結婚したら少し広いマンションでも見に行こうよ』

滝江『敬一さん…万が一でも…キウイ御殿を手伝う事はないですか?』

敬一『子供が出来て夏休みの帰省に顔を見せるくらいだと思うよ…僕もキウイは苦手だし虫もね…田舎暮らしも考えた事は無いよ。』

滝江『良かった…私も虫…駄目なので…

敬一さん!私で良かったら…宜しくお願いします。』

敬一『…良かった…!!!ありがとう‼‼』

こうして結婚することになった私に同僚の半沢尚子さんからこんなラインが…

尚子『滝江さん聞いたわよ』

滝江『尚子さん…お疲れ様です。どうされました?』

尚子『どうって…結婚よ』

滝江『え…あ、はい私の結婚の事ですか?』

尚子『そうよ!いつの間にそんな事になってんのよ!今年のクリスマス飲み会と忘年会どうすんのよォ』

滝江『あ…申し訳ないけど他の人に変わってもらうしかないわね〜』

尚子『滝江さんの知り合いにサービスしてもらう話だったじゃない!』

滝江『そこはちゃんと話を通しておきます…心配かけて悪かったわ…』

尚子『本当よ!!一人で又最初からなんてどうすんのよって思ったわ。まァそれなら大丈夫そうね。』

滝江『ジューンブライドの予定で急な発表になってしまったけど…今までお世話になりました。』

尚子『なりましたって…これで終わりみたいな事言わないでよ。まだ2週間あるんでしょ』

滝江『引き継ぎもそんなに無いしあとは挨拶回りくらいかしら…』

尚子『でしょ…そんなに忙しく無いわよね』

滝江『忙しい事は無いけど毎日スケジュールは詰まってるわ』

尚子『スケジュールっていっても辞める準備でしょ?どうせ…暇で良いわね一人辞めるせいで今日も私、残業なんだけと…』

滝江『…そ、そうなの?』

尚子『あっそうだ!変わってくれないかしら…残業。』

滝江『今日は衣装あわせなんだけど』

尚子『明日でもかまわないでしょ?辞めてすぐ式じゃないんだし…やっと予約取れたのよ百疋屋のパーラー!!』

滝江『あの百疋屋の?すごいじゃない…良いわ、今日の残業変わってあげる』

尚子『じゃ‼宜しくお願いするわね、私から課長に話しておくわ。』

尚子さんから急にラインで頼まれてめったに予約が取れない百疋屋のパーラーの話で残業を変わってあげたのだけど、その次の日もラインが…

尚子『滝江さ~ん昨日は有難う』

滝江『尚子さん?有難うじゃないわ昨日は大変だったのよ!貴方だけじゃなかったわね残業出なかった人たち』

尚子『あぁ…そうだったかしら、でもパソコン得意よね貴方…』

滝江『嫌いではないけど他の人の分も…それも3人分もなんて大変だったのよ!!課長も課長補佐も新人の2人も』

尚子『滝江さんのせいで残業増えたんだから仕方ないわよね。あ…今日もお願いするわ残業。』

滝江『え…?尚子さん!!なおこさん‼』

それからいくらラインしても電話しても尚子さんは出ませんでした。尚子さんのデスクにも帰って来ません…店舗にも来ていないので、私が辞めるまで尚子さんとあと2人分を残業だけでなく普通の業務もこなして…明日辞める日の午後…

尚子『タッキー‼滝江さ~ん』

滝江『尚子さん?』

尚子『お疲れ様!明日辞めるんでしよ?』

滝江『今まで何処にいたの?それより自分が何をしたかわかってるの?』

尚子『わかってるわ…急に体調不良になってしまったけどもう大丈夫よ…明日から復帰させてもらうわ』

滝江『そんな簡単に復帰できると思ってたの?』

尚子『だって大変だったのよねぇこの間!!!』

滝江『この間は慌てたわ…でも次の日からはどうって事なかったわよ』

尚子『なんでよ!3人も居なかったのよ!』

滝江『新人の2人が大活躍でね…うちのパソコンのクセと段取り教えたらあっという間に簡易的に変えてくれて…前よりも打ち込みやすくなって…』

尚子『へー良かったじゃない教育できて…私達のおかげ?的な感じ⁉』

滝江『そうね…そうかもしれないわね…ある意味』

尚子『ある意味って何よ!』

滝江『おかげで随分時間も短縮できてね…新人の2人で充分みたいよ!?これからは』

尚子『何よソレ』

滝江『私も全て教え込んだからさっぱりしたわ…思い残さず寿退社出来そうよ』

尚子『どういう事よ』

滝江『明日出勤すればわかるわ…本当にお疲れ様でした』

尚子『ねぇちょっと‼‼』

次の日出勤して来た尚子さんは他の2人と共に社長室に呼ばれ退職届けを書かされたそうよ。理由はあの2週間欠勤だけではないそうで課長にも「気に病む事は無いよ」と言われほっとしています。

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