第10話 紅茶
三次試験の筆記試験もなんのことは無かった。ここでの勉強は家に引きこもってしてきてるし数学やちょっとした読解問題程度ならなんてことは無かった。すべての過程を終え、また下校時刻を迎える。僕達は試験を受けた部屋を出て少し廊下で話していた。
「あ、レナちゃんどうだった?」
「んー、ちょーっと不安だな」
レナちゃんは困った顔で頭をかいていた。確かに勉強できるっていうタイプには見えないかもしれない。
「レナちゃんなら大丈夫」
僕はレナちゃんの手を握った。
だって、レナちゃんは優しいし強くて僕のこっちの世界で初めてできた友達だから──
「おう、ありがとな」
レナちゃんはいつもの笑顔でそう言った。
「あらあらまた会いましたわね、あなた達。それにしても試験の方は大丈夫だったかしら」
またメアリーさんが現れた 。 自信ありと言った様子だ。
「あぁ、俺たちは平気。あんたこそどうなんだ?」
「えぇ、もちろん余裕でしてよ。 今年の入学成績一位は間違いなくこのわたくしでしょう」
ビシッとこっちに指を刺してくる。
「え、あ、はい」
僕は少し困惑して応える。どうやらかなりのライバル心を持たれているらしい。
それだけ言い残しメアリーさんは帰って行った。
「俺達も帰ろうぜ」
そう言うと学校の外に出る。 学校の周りは少し栄えていて何軒か学内にも売店や食堂、カフェ等がある。
「あの、レナちゃん今日お茶していかない・・・?」
僕は弱々しそうにそう言った。レナちゃんはそれに応えてくれる。
「いいぜ、んじゃあそこ入ろっか」
レナちゃんが指さした所に僕達は足を運ぶ。仲は木組み出てきていて風情があると言った所だ。僕達はコテージの席に座った
「レナちゃん、そういえば昨日の巨人って何だったの?」
「あーあれね。ありゃ『ノータイプ』って呼ばれてる生き物みたいな奴なんだけど私も正体は・・・」
すると床にいたガイドさんが机の上にジャンプした。
「アレはね、『ノータイプ』。知能はナイから生き物ジャないンダ。 ニンゲンの『ベース』に反応してオソウンダ。 キケンだから、キヲツケテネ」
それだけガイドさんは説明してくれてまた床に降りる。
「ありがとうガイドさん」
僕はそう言ってからレナちゃんと少しお話をする。
「レナちゃんってお母さんとお父さんと連絡はとってるの?」
「んー、まぁ一応たまに帰るんだけどさ。昔っから心配性すぎて疲れちまってさ。だから今は放浪っつーか、その日暮らしだな。色々仕事とかやって」
「へぇ、やっぱりレナちゃんってその歳で一人立ちしてるし凄いんだね」
「その歳って・・・それこそセイナはまだ十歳ぐらいなんじゃないのか?」
僕は少しギクッとした面持ちになる。
「あ、ああ、う、うん。ソウダヨ」
「ん?」
それからまた暫く試験の感想等を紅茶を飲みながら話し、店を出る。
「んじゃー、気をつけて帰るんだぞーセイナ」
「あ、うん。バイバイ。レナちゃん」
そう言うとレナちゃんはまたいつもの場所で別れる。
試験結果は来週発表かー・・・どっちも受かってれば良いんだけどな
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