第12話 入学式
今日は初めての登校日・・・というか入学式があって僕も凄い緊張している。
「よし、頑張ろう」
朝の支度を済ませ、僕は扉を開いた。
アユさんにも学校へは着いてこなくて良いよと言ってある。学校ぐらい一人で行けないとね。ガイドさんはふわふわ浮きながら着いてきているけど。
今日も同じぐらいの時間帯なのにレナちゃんはいない。
そういえば昨日もいなかったよね・・・
「あらあら、セイナ・マーレ。今日はお友達とは一緒ではなくって? この前も見たような気がするんだけど何か変なふわふわが一緒に居るみたいね」
登校中に話しててくれたのはメアリーさんだった。ガイドさんは挨拶をしているのか、頭を下に下げている。
「おはよー、セイナさん。私たちと今日は一緒に学校まで行こうよー」
どうやらメアリーさんとユウナさんは一緒に学校に行っているらしい。
「はい、行きましょう」
僕はニッコリ微笑んでそう言った。
「にしてもセイナ・マーレ。今回の入学試験はどうやらわたくしの勝ちみたいね。一位はあなたでは無いらしいし」
「でも凄いねー。その歳で受かっちゃうこと自体有り得ないレベルだよー。セイナさんって今年で何歳になるのー?」
「あ。えと。今年で九歳になります・・・。」
僕は今年九歳にしては発育的には身長もそれなりで良い方だった為、二人には凄く驚かれた。
「・・・にしてもまさかセイナ・マーレ。あなた九歳ってマジですの」
「はい、マジです」
僕達はそう言った風に会話を交わしながら学校へ行く。この時教えてもらったけどメアリーさんは今年で十五歳、ユウナさんは十三歳らしい。二人とも凄く若いのにしっかりしていてこっちこそそれが信じられないほどだった。
学校に着く。入学式では体育館に座り、校長の話を聞く。どうやらクラス等は無くて本当に大学みたいな感じらしい。資料や道具等、この世界で勉強したりする部屋がいくつもあって、その中から自分のやりたいことをやる。後はそれの結果をレポートしたりしてそれを提出するって言う風な具合だ。
「では。以上。次は入学者代表、『マルク・オリオン・ハーミアン』」
この人が今年の成績一位・・・男の人で風体も凛々しくまさに白馬に乗った騎士って感じ。白いスーツを着ていてそれに合った金色の髪も綺麗だった。
「暖かな春の日に──」
この人が話し出すと周りに緊張が走る。僕がこの体育館に入った時もザワついたけどこの人はそういうのじゃなくて周りを掌握するというか、そう言った類いの影響を及ぼしていた。
「以上で終わります」
その挨拶も終わり、僕は少しほっとする。僕は周りを見渡す。・・・レナちゃんが見当たらない。僕は心配になってきてしまった。
「───一か八かやってみよう」
僕は心を決め、今までで一番良い姿勢で手を挙げた。それに周りの視線が釘付けになる。
「な、なんだなんだ・・・あれって・・・」
「あぁ間違いない・・・セイナ・マーレだ・・・。今九歳っていう歳にしてこの学校に受かったって・・・」
「九歳・・・!? なんかの間違いだろ・・・」
僕は立ち、できるだけ気品を孕ませて言葉を発する。
「わたくしはセイナ・マーレと言います。大変申し訳ないと言わざる負えないのですが、私事で少々急用を思い出しまして。席を暫く外させて頂くことは出来ますでしょうか・・・無理にとは言いません・・・」
ここにいる全ての視線が釘付けになっているを感じた。緊張はするがここは耐えるしかない・・・
「ああ。セイナ・マーレさん。どうぞどうぞ行ってください」
何とかなったみたいだ。マルクさんがそれを了承してくれた。
「ありがとうございます。それでは」
僕は体育館からゆっくりと出る。その空間はすごい緊張感が走っていた。
「!!」
僕は出た瞬間長い髪をボサボサにしながらでも気にせず走っていく。
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