第14話 あなたとなら
入学式が終わった。僕達はあの後扉を開いてこっそり席まで移動しようとしたけど案の定バレてしまい、結局堂々と二人で席に着いたのだった。
「レナちゃん、ちょっと休憩しよっか」
「おう、俺も疲れちまったよ、あはは」
そうして入学式終了後、僕達二人は大庭にあるベンチに着いた。花や噴水に囲まれていて風が心地いい。
「ちょっと! あなた達何やってるのよ!」
メアリーさんとユウナさんが目の前にいた。
「ああ、この前いたメアリー・・・だっけ?
んで隣は?」
「こんにちはー、メアリーちゃんのお友達のユウナって言います。よろしくねー」
「あぁ、なるほど。俺はレナ、よろしくなユウナ」
ユウナさんはぽわわんとした表情をしていた。
「にしても急に出ていっちゃうなんてびっくりしたわよセイナ・マーレ」
「ごめんねー、メアリーちゃんはすごーく心配してたんだー」
「し、し、しししし心配なんて別にしてませんわ、セイナ・マーレがあんなことをするものだから驚いただけよ!」
「────そうだね、僕も驚いたさ」
背後から優しいような威圧感のある低い声が聞こえる。
「やぁ。セイナ・マーレさんにレナ・ペンタグラムさん、メアリー・カシオス・カートレアさんにユウナ・アルティナイトさん。僕はマルク・オリオン・ハーミアン」
「ん? 誰だお前?」
レナちゃんが不思議そうに聞く。
「・・・レナ・ペンタグラム。この方、入学成績一位の新入生代表をしていた方ですわ。あまり粗相が無いように」
メアリーさんが耳元で小声を使ってレナちゃんに説明している。
「いや、僕のことは気にしなくてもいいさ。それよりペンタグラムさん。あなたは何故今日の入学式に遅刻を・・・?」
「あぁ、それはさ。んー、あんまりみんなも巻き込みたくはねぇんだけど・・・」
僕はレナちゃんの手を両手でギュッと握った。
「大丈夫・・・僕はレナちゃんが何か困っていることがあるなら協力したいよ」
「まぁ話ぐらいは聞いてあげてもいいですわ」
「メアリーちゃんに合わせるよー」
「僕も新入生の代表として同じ学年の仲間が何か困っているなら見過ごせないさ」
レナちゃんは何だか凄く安心した顔をして肩をなでおろした。
「あぁ、わかった。じゃあ話すよ」
───────
話を聞いたあとの開口一番はマルクさんだった。
「なるほど、つまり君の村やその周辺がノープ達に脅かされていてそれを護衛をしているということになるんだね」
「うん、まぁそうゆうこと。まぁ護衛っても俺も一応宿とか謝礼金とか出るから好きでやってるとこもあるんだ」
なるほど、レナちゃんの強さってそう言う所から来てるんだ・・・
「なるほど、ここの所ノープはひっきりなしに沸いているような気もするな」
「あの、マルクさん・・・僕達にできることって無いでしょうか?」
「あるよ」
マルクさんは俯きながら話す。
「根本を解消するにはノープの発生源を見つけてそれを潰してしまうこと。だがその発生源は今のところわかっていない」
「ワカルヨ」
ガイドさんがよちよちとマルクの足元まで歩いていく。
「ボクには、ノープをミツケルタメのセンサーとこのセカイのマップガ入っているンダ。ミツケルコトはきっとできる」
「なるほど、その話が本当なら見つけることができるかもしれないな」
「だとしても、誰が行くんですの。私たちの知っている世界はとてもとても狭いから分からないかもしれませんが外にはどんな危険が付きまとうかはわかりませんのよ」
メアリーさんが言っていること、昔本で読んだことがある。確か僕達が住む世界ってすごく狭くて外の世界はまだまだ未発見の謎が山ほどあるって。
「僕に・・・行かしてくれませんか?」
「セイナ・マーレ、君がか・・・まだまだ幼い。危険じゃないのか?」
「ちょ、ちょっと待った!」
レナちゃんがそれを止めようとする。
「とにかく、セイナは見かけによらず勇気もあるし体も九歳にしては発達してる方だと思う。しかも賢い。でも俺はセイナを一人で行かせるってのはちょっと心配だ」
その言葉を聞き、ユウナさんが提案をする。
「なるほどーならレナさんとセイナさん、二人で行くというのはどうかなー? メアリーちゃん、どう思う?」
「彼女たち二人にはノープを退ける力はあった。わたくしもその点は何より高く評価している。それでも充分に危険はあるわ」
でも僕の決心は着いていた。
「僕は行きたいです・・・僕のお父さんも多分ノープのことで外に出たけど戻ってきていない、きっとその手がかりもあると思うんです! それにレナちゃんと一緒なら今の僕は怖くないって・・・そう思います」
「セイナ・・・」
レナちゃんはこちらを見て驚いたような顔をしたがすぐにふと安心し、クールな笑みを浮かべた。
「ああ、俺達二人で外を見てくるよ。学校の単位もその研究レポートってことでいいよな?マルク」
マルクさんもそれに応じ、少し笑って答える。
「もちろん、ざっと見積もってもそんな貴重なレポートがあるなら四年分の単位は保証できるだろう。僕がここの顔馴染みの教授達にその旨を伝えておくよ。だけど、本当に行くのかい?君達」
僕とレナちゃんは顔を見合わせ、またマルクさんの顔を見て答える。
「「はい」 「おう」」
チート能力をもらって名家の黒髪大和撫子な美少女に転生した僕が無双TUEEEEできる筈なのに性格が聖人君子すぎて全くイキらない件〜異世界がストレスフリーでスローライフ過ぎる〜 八四さん @hatiyon
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