チート能力をもらって名家の黒髪大和撫子な美少女に転生した僕が無双TUEEEEできる筈なのに性格が聖人君子すぎて全くイキらない件〜異世界がストレスフリーでスローライフ過ぎる〜
八四さん
第1話 神からの恩
今日も終電帰宅だ。ここの所寝れてないな。そう思いながら会社から帰宅している。僕の名前は森もり 誠也せいやと言い、今は中小企業に勤務している。歳ももうすぐ30代で毎日苦労の連続であった。帰っても風呂に入ってすぐ寝るのみ。そんな生活を変える神算鬼謀があれば良いのだが、宛も無い。僕には大きな特徴がありそれがいつも足を引っ張っていた。それはお人好しすぎるということ。何かある度に他の人を優先したり、困っている人に手を差し伸べてしまう性格故に周りから多少好かれることがあっても上の役職に登れるということは無かった。
「危ない!!」
道路に飛び出していたのは小さい五歳ぐらいの男の子だった。ふいに母親の手を離れてしまったのだろう。その瞬間に車が走ってくる。僕は思わず道路に飛び出し、男の子を突き飛ばす。どうやら男の子は尻もちを着いたが無事なようだ。でも僕はもう助からないだろう・・・そう思いながら歩道に手を伸ばした。
***
「おーい、起きなはれ」
お爺さん・・・?そういえば僕は轢かれて・・・
「あ、えっと・・・ここはどこなんでしょう」
僕がそう聞くとお爺さんは髭を擦りながら答える。辺りは何だか真っ白のモヤがかかっているようだった。
「・・・ここは死後の世界。お前はまぁ死んだんじゃ。こんなのは向こうの世界でもありきたりな展開じゃろ。これからワシがお前の処遇を決める」
僕は一瞬驚いて唾を飲むがその事実を何とか頭で理解する。
「ちなみに・・・最後に助けた少年覚えてるか?」
そう言われると僕はそういえばと言った顔を浮かべる。
「えぇ、覚えていますが・・・あの子無事でしたか?」
「あぁ、無事だし君はそれによって凄い功績をあげたよ」
僕はキョトンとした顔をする。
「えっと、あの子はかなり高知能、高スペックに設定された人間なんじゃ。今の人類に変革を持たせる為にあの地に降ろしたまさしく天才じゃ、あの子が死ぬようなことがあればワシは神の座を自ら降りなければならない程じゃわい。・・・感謝しておるよ」
お爺さんは軽いような、どこか含みのある口調でそう口走る。どうやら自分のことを神だと言っているのでここに僕を呼んだのもこの人なんだろう。
「あはは、それは良かった。それで僕はこれからどうなるんでしょうか、やっぱり天国や地獄に・・・?」
「あぁ、それなんじゃが。君にはもう一つの世界で生まれ変わってもらうことにしよう、もちろん君の才能から何から何までワシが保証しよう。もちろん金にも困らせん」
僕はそう言われたが少し俯き考える。そして顔を上げ再び答える。
「それはありたがいんですけど・・・僕は結構です。資産とかなら僕の家族や友達で苦しんでいる人がいるならどうかその人たちに分け与えてあげることはできませんか」
お爺さんは僕を呆れたような目で見つめている。僕は真剣な顔でお爺さんに見つめ返した。
「やれやれ、やはりとんだお人好しじゃな。まぁ生憎君が思っている程困っているもんもおらんかったよ。君が助けたあの男の子の母親は金持ちで君の家族にそれなりの謝礼は払われておる。思い残すことは無いじゃろ、それに─────」
お爺さんはニヤリと笑い頬ずえを付けながら口を再び開ける。
「君が直接その手でこれから行く世界で出会う人々を救えば良い。まぁワシはここからは何もしてやれんが頑張るんじゃぞ」
「それって───」
急に視界が暗闇になった。僕はこれからどうなるんだ。どこへ連れていかれるんだ・・・?
***
視界が元に戻る。何故かハッキリと物事を考えられない。何やら何人かの人の顔が見える。
「生まれましたよ」
そう言うと涙目で女の人が僕を覗き込み頬を撫でる。
なんだ・・・? 僕は生まれ変わった・・・のか・・・?
どうやら体も上手く動かせないらしい。これからどうなるんだ・・・?
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