特別なような日常のような「ブルーアワー」

あらすじの文章に『タツヤの時間は不思議な歪みを見せ始める』と書かれているところからも察せられるように「時間もの」の物語です。
なにかの拍子に時の流れがおかしくなっちゃうよ、というタイプの話ですね。

具体的にどんな異常が起こるかは本編を見ていただくとして。
時の流れがおかしくなる物語に、ブルーアワーという時間を利用したところが素敵なんですよ。

ブルーアワーとは、日の出前と日の入り後に空が濃い青になる時間帯のこと。
特定の時間帯を指す一方で、基本的には晴れてさえいれば日を問わない現象です。
そんな特別なような日常のような時間を物語に組み込んだところが物語を一層美しくしていて、とても楽しく読める作品なのです。