読み進めれば「そこ」にたどり着く。

キャッチコピーがとてもいい仕事をしています。
作者様が設定したキャッチコピー、ご覧になりましたでしょうか。
『これは、あらかじめ失敗した少年達の闘争の記録』という、意味深なフレーズがキャッチコピーになっています。
『あらかじめ』ってどういうこと?『失敗』ってなに?
読み始める前の段階から、読者は謎を抱く羽目になります。
そのおかげで、作品を読み進める上で心構えみたいなものができるのです。
これが素晴らしいと思いました。

うっかりした読み方をすると、テロリストの少年と知り合った主人公がどんどん変な出来事に巻き込まれていく物語でしかないように見えてしまいます。
ですが物語の序盤から、核心の設定や物語の着地点をはっきりと見据えたシーンが続きます。
その気配を見逃さないようにと、意味深なキャッチコピーが導いてくれているのですね。

はたして私のレビューを読んだあなたは、作者様の置いたキャッチコピーにも目を通したことになります。
であれば、この物語を存分に楽しめるはず。
行ってらっしゃいませ。