《健常者》雇用水増し問題。

D・Ghost works

《健常者》雇用水増し問題。

 二〇一八年八月。


 中央省庁は障害者雇用義務化が当初から四二年にわたり障害者雇用数を水増していたことが発覚。厚生労働省は調査を開始。

 後に中央省庁の八割に当たる行政機関で、合わせて三四六〇人の障害者雇用の水増しが判明。


 連日にわたる内閣官房長官の会見も空しく、調査を進めるうち障害者雇用不足数は増え続け、その火種は地方自治体にまで波及。多くの政令指定都市、市町村、警察本部、また国立大学、国立研究所、などの独立行政法人での雇用数の水増しが発覚。




 二〇二〇年二月。

 厚生労働省は国の三五行政機関すべてが二〇一九年一二月末時点で公的機関の法定雇用率を満たしたと発表。《障害者雇用水増し問題》は全てが解決したと思われていた……。




 二〇二一年八月。

 新たな雇用問題が発覚。今回は《障害者雇用水増し問題》とは逆の事が起きた。

 全中央省庁、そして全地方自治体において、健常者として雇用されていた職員のうち一万人を超える人数(二〇二一年八月五日発表)が障害者であったことが発覚。


 うち四十%は障害者手帳三級相当。

 うち二十%の職員が障害者手帳二級相当。

 うち三十%の職員が障害者手帳一級相当の重度の障害。

 残り十パーセントは現在精神鑑定の為、詳細は不明。

 発覚した職員たちの多くが主に、


・自己愛性人格障害

・躁うつ病

・統合失調症(極度の疑心暗鬼を含む)

・慢性的アルコール中毒(アルコール性大脳小脳萎縮症・アルコール性抹消神経障害等を含む)

・適応障害


 等の重度の精神疾患を抱えている事がわかり、調査に携わったA精神科医は

「その多くの障害が、他者や自己に対し危害を加える可能性のあるレベルまで進行していたが、彼らは具体的な攻撃性が発露していなかった。ただこの解釈は誤りで、国家運営という行為そのものが極めて攻撃的、残虐な行為となりえる事を示唆しているのかもしれない」

 と、コメント。




 昨夜、内閣官房長官への質疑が行われました。


質問

「省庁だけでなく、国会議員の中にも多くの偽装健常者が居るのでは、と言われていますが具体的な対応はありますか?」

回答

「有識者会議の結果次第では議員のカウンセリングを行う可能性もありますが、今のところ予定はありません。また、障害の度合いによって除名、辞職勧告等を行う事はありません」


質問

「官房長官、ご自身が何らかの障害を抱えているという可能性について、何か心当たりはありませんか」

回答

(酷く不快そうに、を掻きながら)

「何も心当たりはありません」


 現在、有識者団体は調査内容、および官房長官の立ち振る舞いを踏まえて、頭髪の抜け毛、いわゆる”禿げ”も障害に該当するか検討を進めている。

                     完

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