告白して失敗したら今の関係も壊れるかもしれない怖さ。そんな想いって恋愛でよくありますよね。でもそれって男女間のお話だけではなくて女の子同士だってあるんじゃないかな。もっと一緒に居たい。もっと私だけを見て欲しい。そして私以外の人と仲良くならいでよと。そんな気持ちの描写が読者に突き刺さってきます。そこに「堕ちてよ」に含まれる意味が加わってくると・・・・・
走るバス。すぐ隣にいる彼女が、大いなる謎に思える。夕日に照らされた逆光の中。すぐ隣にいる彼女が、まったく知らない他人のように思える。そして、世界のすべてのように思える。人の心はまさに宇宙。恋する少女の複雑怪奇な感情の動き、その一瞬を切り出した見事な作品。
読み終わった時に声が出ました。タイトル、文章、全部計算されてます!!!伏線とかではなくって、なんか、ニュアンスみたいなものが自分を切迫していく感じがしました。すごい!!!
友達の失恋話をバスの中で聞く私。あなたはいつもきらきらしている。眩しくて、きれいで、あなたを取り囲む全てが羨ましく、滅茶苦茶にしたいくらい、大っ嫌い……。あなたの一番でありたい……あなたの隣には私しかいらない……ねぇ、私と一緒に堕ちていかない?
もしかすると読者である私自身も、彼女らとどこかですれ違ったことがあるのではと思うほどに、非常に身近であり、そしてリアルな世界観。想いが成就するよう願う乙女心ではなく、多くのモノを嫌い、そしてタイトルである「堕ちてよ」と望むことで、先述したような身近さを保ちつつ、一個の独特な物語として静かに本心を訴えかける。
叶うはずのない願いを抱く主人公。いっそのこと、堕ちて仕舞えばいいのに、と願う主人公。これを「怖い」と捉えるのもありですが、わたし的には当然なんだと思います。好きな人の全てを知っていたい。独占したい。そう思ってしまうのは、好きだから。叶わないけれども酷く醜くとてつもなく美しい作品をありがとうございました。是非読んでください!
キマスネ。実に良い言葉です。
ありきたりな物語かと思いきや鳥肌が立ちました。掌編における起承転結の極致をみる思いです。
私自身百合モノが好きなので興味を持ってこの小説を読みました。 恋の煩わしさ、甘さをリアリティのある心の声が語っている。 「堕ちてほしい」思いがどろっと書かれている。 このような作品をこれからも読んでいきたいですね。
短く、すぐ読める作品でした。夕暮れの陽光が差すバスの中を想像しました。女の子の淡い、強い思いが込められた短編で、百合ジャンルをサクッと読みたい人におすすめです。メールの描写があって、個人的に『いいな』と思いました!堕ちてよ、と言う女の子の心意がどういうものなのか、ぜひ読んでみてください!