告白代行サービス
水谷一志
第1話 告白代行サービス
一
私には、告白したい人がいる。
それは私と同じバスケ部の1個上の先輩。
先輩は……、背も高いし、顔もイケメンでバスケもうまい。
文字通り、絵に描いたような好青年。
『でも、私なんて相手されるのかな…。』
『先輩モテそうだし、私のことなんて眼中にないよね…。』
そうやって私がモジモジしていると、たまたま新聞の広告に目が行く。
『何々……、《告白代行サービス》!?』
二
その広告には、こう書かれてあった。
《あなたに告白したい人はいませんか?》
《弊社があなたの告白を代行致します。》
その下には、聞いたことのある会社名。
ただ、《告白代行サービス》なんて聞いたことがない。
……と言うか私はまだ中学生。知らないことの方が多い気はする。
『ふうん。インターネットでも申し込めるんだ。』
これは確かに便利だ。これなら勇気の出ない私でもチャレンジできる。
三
『何々、告白する相手の個人情報がいる……?』
その広告の裏面には、具体例が書かれてあった。
それは私が今まで見たこともないようなサービス。
……さっきも言ったけど、私に人生経験がないだけかもしれないが。
『私、先輩のLINEは知ってる、けど…。』
それ以外のことはそのLINEで聞くとするか。
『でも、告白代行サービスって何かおしゃれ…!』
少なくともLINEで告白するよりはいいだろう。
中学生の私はそんなことを思う。
四
そして私は具体的な段取りを進める。
代金は後日払うとして、あとは告白の具体的な言葉だろうか?
……うーん難しいな……。
しっかりと《代行》してもらうために、私は頭をひねる。
『でもやっぱりシンプルなのが1番、かな!』
私は、頭の中でシミュレーションする。
五
そして私が考えた告白の言葉。
【センパイ、ダイスキデス】
※ ※ ※ ※
「部長、この《告白代行サービス》、よくお考えになりましたね。」
「ああ、特に若者の需要が減った【電報】を復活させるにはこれが1番だろう。」
「若者は【電報】なんて知らない人の方が多いですからね。」 (終)
告白代行サービス 水谷一志 @baker_km
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