告白代行サービス

水谷一志

第1話 告白代行サービス

私には、告白したい人がいる。

それは私と同じバスケ部の1個上の先輩。

先輩は……、背も高いし、顔もイケメンでバスケもうまい。

 文字通り、絵に描いたような好青年。

『でも、私なんて相手されるのかな…。』

『先輩モテそうだし、私のことなんて眼中にないよね…。』

そうやって私がモジモジしていると、たまたま新聞の広告に目が行く。

『何々……、《告白代行サービス》!?』


 その広告には、こう書かれてあった。

《あなたに告白したい人はいませんか?》

《弊社があなたの告白を代行致します。》

その下には、聞いたことのある会社名。

ただ、《告白代行サービス》なんて聞いたことがない。

 ……と言うか私はまだ中学生。知らないことの方が多い気はする。

『ふうん。インターネットでも申し込めるんだ。』

これは確かに便利だ。これなら勇気の出ない私でもチャレンジできる。


 『何々、告白する相手の個人情報がいる……?』

その広告の裏面には、具体例が書かれてあった。

 それは私が今まで見たこともないようなサービス。

 ……さっきも言ったけど、私に人生経験がないだけかもしれないが。

『私、先輩のLINEは知ってる、けど…。』

それ以外のことはそのLINEで聞くとするか。

 『でも、告白代行サービスって何かおしゃれ…!』

少なくともLINEで告白するよりはいいだろう。

 中学生の私はそんなことを思う。


 そして私は具体的な段取りを進める。

代金は後日払うとして、あとは告白の具体的な言葉だろうか?

 ……うーん難しいな……。

しっかりと《代行》してもらうために、私は頭をひねる。

 『でもやっぱりシンプルなのが1番、かな!』

私は、頭の中でシミュレーションする。


 そして私が考えた告白の言葉。

【センパイ、ダイスキデス】


※ ※ ※ ※

「部長、この《告白代行サービス》、よくお考えになりましたね。」

「ああ、特に若者の需要が減った【電報】を復活させるにはこれが1番だろう。」

「若者は【電報】なんて知らない人の方が多いですからね。」  (終)


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告白代行サービス 水谷一志 @baker_km

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