海洋ロマン感ある骨太ファンタジー

  • ★★★ Excellent!!!

 恋愛ジャンルだったので、もっと軽い感じなのかと思いきや、重い運命を背負った娘と、雄々しい海の男のロマンスが、重厚な世界設定の上で踊ります。

 何故そのような旅立ちが必要なのかという謎と、ユーリがジェイクを選んだ理由、精霊のリィンはどうしてこんな事を?アレクシスとユーリの関係は?という、適度な謎が散らばっていて、本筋を追いながら、過去の出来事が混乱なく表現され、濃厚な物語作品として成立しています。
 
 気づけば個々のキャラクターの魅力の虜。ちょっとしたやり取りも、適度な距離感が合って、恋敵であってもドロドロせずに、戦友的な間柄ともいえる絶妙さで協力していく様子は、心地よい程です。

 嵐のシーンは頬に当たる雨の感触、波のうねり、雷鳴の轟音さえも聞こえてきそうで、平穏な航海との緩急差も素晴らしいです。

 読後感もよく、読んでいて苦しいシーンもないため、何度も再読できそう。

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