④
気が付くと、既に日は落ちていた。そして、片田舎特有の、中途半端な星空だ。それでも、見えるものは見える。
「あ、天の川だ」
「ホント?」
「ああ。今日は月もあまり出てないし。きれいに見えてるよ」
「そうだね」
「こっちは、カシオペヤ座かな」
「そうだね」
「ここから、もうちょっと先に見えるのが、北極星であってる?」
「あってると思うよ」
「北斗七星は……山に隠れて見えないか」
「そうだね」
「……ねえ、遥香」
「なに?茜ちゃん」
「今、星空見てるんだけど」
「そうだね」
「……見えてる?」
「見えてない」
「……え?」
「知らなかったの?あたしが、夜に全く周りが見えなくなるの。夜盲症っていうんだけど
「」
「やもーしょーだよ、やもーしょー」
「……知らなかった、です」
「だからね、山だって見えないよ。もちろん、星も」
「……ごめん」
「ううん。謝らなくていいよ」
「いやだって、こんなの、楽しくないでしょ?」
「いやいや。あたしは、茜ちゃんと一緒にいれば、楽しーよ?」
「でも、このままだと、帰るときに……」
「茜ちゃんが手をつないでくれれば、大丈夫だよ。ね?」
「……本当に?」
「本当だよ!」
「……そっか」
「ところで、茜ちゃん」
「……なに?」
「ファミレスでは、あんまり食べ過ぎちゃだめだからね?」
「……やだ」
「え~。いじわる~」
星空を見た。ところで…… 深谷田 壮 @NOT_FUKAYADA
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