③
「でさ、そのとき、マナちゃんが、なんて言ったと思う?」
「あ、ごめん。よく聞いてなかった」
私が遥香の話を聞き流してしまっても、お構いなしに口は動き続ける。
「気にしなーい、気にしない!」
「……ごめん」
「え〜そこ謝るの〜」
「じゃあ、遥香も、気にしなーい、気にしない」
「え~」
「何か不満でも?」
「あたしのコメント、パクらないでよ~」
「わかったわかった。それで、門限は大丈夫?」
「あ、そうだった!」
そんな大事なのを忘れてたのか。ちょっとびっくり。
「茜ちゃん、ケータイ貸して!」
「それは通信制限関係ないでしょ」
「……そう?」
「そう」
「じゃあ、ちょっと失礼」
彼女の門限は特殊で、『日没までに帰ること』らしい。真偽は定かではないけど。とはいえ、右隣で、親と会話しているだろうし、きっと、正しい。
「オッケーだって!」
「よかったね」
「って言っても、もーすぐ日没でしょ?このままここにいる?」
「いる」
「オッケー」
「あ、あと、もうしばらくここにいるけど」
「ヘーキヘーキ。外で食事するって言ったし」
「……親に?」
「そうだよー」
「私、そんなに金持ってないんだけど」
「あたしが出すよ」
「ならよかった。それじゃあ、帰りは焼肉ね」
「え~。ファミレスでいいでしょ?」
「……仕方がないから、ラーメンで許す」
「太ってもいいの?」
「私はいいよ」
「え~そんなわけないよね~」
「そんなわけある」
「……じゃあ、せめて、蕎麦屋にしない?」
「冗談だよ。ファミレスでいいよ」
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