②
行き止まりに着いたときには、繋いだ右手が蒸れていた。冬だというのに。
「目的地は、ここでいいの?」
「もちろん!で、ここはどこ?」
「マップだと……」
「はやくはやく~」
「……自分で調べたら」
「やだー」
「なんで」
「だってギガ使うし〜」
「こっちも使うんだよ」
「あたしはすでによーりょーせーげんですー」
「ならもっと早く言って」
「うぇーい」
「お?今度はパリピか?」
「いぇあ!いぇあ!」
「フゥ!フゥ!」
「あ!」
「あ?」
「茜ちゃん、はやく教えてよ~」
「はいはい」
「ここどこ?ここどこ?」
「もうちょっと待って……ここだ」スマホを見せる。
「……ケッコー歩いたね」
「今から帰ると、日が暮れるけど、どうする?」
「だったら、もうちょっと、ここにいる」
「了解」
了解してくれた。のははいいけれど、これから、何をして暇をつぶせばいいんだか……
「そういえば、今日の授業で~……」
「今日は寝てたんじゃなかったの」
「いやいや!全部じゃないよ」
どうやら、話すネタには困らなさそうだ。今日も。
思えば、遥香との会話は、常にとめどないものだった。そんな記憶がある。いや、遥香が、永遠に話を続けられる人なんだ。
都庁に登ったときも、町の祭りのときも、林間学園も。遥香との思い出といえば、大体がおしゃべりだけだ。ビル群の景色だったり、りんご飴の味だったり、圧倒的な星空すら、頭になかなか入らない。いや、入れさせてくれないのだ。
彼女のマシンガントークは、それ程に強烈なのだ。
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