生きるとは、時の流れのなかにある、ということだ。『ゾウの時間ネズミの時間』という有名な生物学の本があるが、同じ種、人間同士でも、時の流れは異なる。或るものは観察に徹し時を俯瞰する。或るものは時を取り込み体現しようとする。或いはその狭間で、その生きざまから時を知ることもある。あなたは、時をどう流れるだろう。オススメです。
まさか、『武蔵野』というお題から、この物語が綴られるとは、驚きです。なのに、『武蔵野』というお題を、違和感なしで、物語に馴染ませる様は、素晴らしいと思いました。ただ、もう少し、オチに、更なる意外性か、大逆転の明るさ、等が、あれば、更に輝いたと思いました。
人は個々に違う。そこに流れる感情も時間も。ここには平坦な心も激情もあるが、全てが公平に描かれる。そしてそれは短い言葉では表現できない魅力を持つ。登場するキャラクターは作者が手掛ける別の異世界ファンタジーに登場するのだが、このストーリーは切り離された物語として完結しているので短時間で作者の一面を垣間見るには最適。やや重い面もあるが是非、気軽に手に取っていただきたい。