思い浮かぶままに徒然と語られる在りし日の思い出

 ふとしたきっかけから弟子を持つことになったとある女性の思い出話。
 現代ファンタジーです。なかなか独特な雰囲気の作品で、本当にモノローグそのものというか、全編通してインタビューにでも答えているかのような調子で書かれています。
 最強と名高い傭兵であるところの主人公、『師匠』。ある日、彼女のもとに突然、弟子入り志願の少年が現れる。まだ小学生くらいの子供でしかない少年の、その目的は「母の敵討ちのために強くなりたい」というもの。もともと弟子など望まないながらも、しかし根負けした彼女は渋々、少年の弟子入りを認めることになって……。
 と、大体そのような導入から始まり、そして彼女と彼の日々を描いていく回顧録。ここで重要になってくるのがタイトルにもある『嘘つき』という要素で、この師匠が弟子に対して突き通すことになる嘘こそが、この物語のドラマの軸を担っています。
 期待を裏切らないド王道のハッピーエンドが素敵でした。きっと誰もがそうなってくれと願ったであろう幸せな結末。やっぱり最後にホッとできるお話はいいお話だと思います。