淡々と感情を昂ぶらせることも、たぎらせることもなく、どこまでもていねいに、無垢に描かれた一服の絵画のようなお話でした。
私は藤のようさんの『せんせいのお人形』が好きで、以前感想をつぶやいたこともありました。どんな小説を書いたのだろうとわくわくして読みました。正直、驚きました。もちろん、いい意味でです。
漫画と小説は異なる表現方法のはずなのですが、作品を読み終わって目を閉じた時に感じるものが同じでした。決して特別ななにかがあるわけではないのに、読む人の心に深くしみてゆくやさしさがあります。
そして目の前に広がる白く光景。残酷なまでに美しく凄惨な白の中で、かすかに貝を踏む音だけが響く。素敵すぎるでしょ!
ありがとうございました。