第2話

「はーっ、はーっ」

痛い。

「あなたが、悪いんだからね…っ」

「ぐっ…」

首を絞められていて、息ができない。

「私たちだけの家に、あんな…ほかの女の匂いなんか持ち込むから…っ」

「…!……!」

やめてほしいといいたいが、声を出せない。そして、クラっとした感覚になり、意識が飛びそうになる。が、その瞬間、パッと手が離された。

「ゲホッ、ゲホッ…」

不足していた酸素が一気に体内に入っていく。

「あ!痕、ついてる…首輪みたいだね…♡」

冗談じゃない。

「これで、もっと…ほかの女は近づいてこなくなるかな?私のものだって、ひと目でわかるもんね…♡」

「もう、やめよう…冷静になってくれ…」

「私は冷静だよ?これは、悪いことしたあなたへのおしおきだから必要なことなの」

「だから、ごめんって…」

「許してあげない。もっといろんな痕をつけてあげる♡」

そういって紗夜は、俺の肌にかじりついてきた。

「いたっ…」

「我慢して」

数秒間の間、紗夜は俺の肌から口を離さなかった。

「…んっ、くっきりと噛み跡付いてる…これでまた、私のものだって分かりやすくなったね」

ジンジンとした痛みが続いている。

「よく我慢したね♡じゃあ、ご褒美あげる」

そう言うと紗夜は、唇を重ねてきた。痛みが続いていたが急に快楽が来て、体はびっくりしているのだろうか。

「…ぷはっ。…あっ、そうだ!キスマークもつけとこ」

首筋に口をつけ、吸い付かれる。

「今日でまた、たくさん私のものだっていう痕がたくさんついたね。でも、これからは毎日沢山痕つけちゃうから」

今日はまだ眠れそうにない。






翌日。朝起きたら紗夜は昨日は何も無かったかのように、いつも通りだった。紗夜の作ってくれた朝食を食べて、準備して会社に向かう。

「いってらっしゃい。もうあんなこと、無いようにね…?」

「う、うん…」

そそくさと家を出た。そして、駅に着き電車に乗る。

(だる…)

いつもの通勤ラッシュだけど、まだ慣れていない。すし詰めで、朝から気分が落ちる。




会社について、今日もまた作業に取り掛かる。

楽しくはない業務を経て、昼休み。

「大丈夫か?お前」

同僚の杉田が、恐らく首の痕を見て気にかけたのだろう。

「あ、ああ…大丈夫だよ」

「もしかして、例の彼女さんか?」

杉田とは仲が良く、たまに紗夜のことも相談している。

「迷惑なことがあったらはっきりいった方がいいぞ、お互いにな」

はっきり言ったら言ったで何をされるか分からないからそれはできない。

「そうだな…」

「まあ、さっさと飯食おうぜ」

カバンから紗夜の作ってくれた弁当を取り出す。そして、口いっぱいにほお張る。

「…やっぱうめーわ」




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