90点

 文法においても、話の構成においてもよくまとまっている。主人公の生粋の善人さもきちんと描けている。
 では、何がダメなのかと言えば、無双のタイトルである。本来この言葉は「少人数で、大勢の人間をなぎ倒す」等の意味である。
 一章にせよ二章にせよ、対峙しているのは一対一、無双という言葉は不適切なのである。
 おそらく無敵だとか、チートだとかという表現がしたかったのでしょうが、ならきちんとそう書くべきですね。期待して見に来た人は、ガッカリするかもしれませんし、本当に読みたい人の目にとまらない気がします。
 話の内容は先に記述したとおり。誰しも感じたことのある人の闇を上手く表現なされています。シリアスな場面の切り替えも読み手を引き込むタイミングでなされています。キャラの個性もきちんと出ていますし、伏線の回収も納得の行く流れでされており、お見事の一言。
 ジャンルとしても、近年はあまり見ないしハマる人もかなり多いでしょう。
 作者の話の展開に異論を唱えてる人もいますが、そのような方は自分で小説を書くなりなんなりしてみればよいかと。いくらこの作品が、現実を基盤にしたものであったとしても、あり得ないことの一つや二つないと面白くないんですよ?
 

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