Ⅶ 騎士への航路
「――敵とはいえ、あの装備は参考になるものだった……うむ。我らの船にもあの鉄板の装甲を張ることにしよう。それにあの船首に武器を付けるのも非常に有益だ。ガレオンも弦側は砲門を設けて重装だが、進行方向は手薄だからな……」
よく晴れた大海原を眺めながら、ハーソンが誰に言うとでもなくぶつぶつと呟いている。
あれから一週間ほど後、ハーソン達の姿はクープンハウンゲンの商船の上にあった。目的を果たし、祖国へと帰るのである。
その目的――即ちティヴィアスも、彼らの傍らに乗っている。
もともと、エルドラニアの軍船の操舵を任されることにやぶさかではなかった彼は、〝シーサーペント〟退治というやり残した仕事も果たせたので、ハーソンの申し出を受け入れて白金の羊角騎士団へ入団することを了承したのだった。
「…………ティヴィアスさん、何をなさってるんですか?」
だが、なんだか奇妙な姿勢をずっとしたままのティヴィアスに、メデイアが怪訝な表情を浮かべて問いかける。
彼は進行方向を向いて甲板に仁王立ちし、両手を前に伸ばしているのだ。
「ああ、なに。他人の船っていうのはどうにも落ち着かなくてな。せめて、自分で舵を持ってるような気分になろうと思って……」
その問いに、ティヴィアスはその髭面に照れ笑いを浮かべながら、なおもその姿勢のままそう答える。
「ハハハハ! ほんとに貴殿は根っからの船乗りのようだの。これは我ら羊角騎士団の船を任せる操舵手として、確かに最適の人材かもしれんな」
そんなティヴィアスに、アウグストはそう呟くと愉快そうに高らかな笑えをあげた。
(Helsmen Af Drger ~ドラゴンの操舵手~ 了)
Helsmen Af Drger ~ドラゴンの操舵手~ 平中なごん @HiranakaNagon
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