持てる者の憂鬱

 例えば仮に世の中に、廉価版CPUの性能を下げるためだけに、そのチップが本来的に持っていたスペックへ不要な制限をかけるような半導体素子メーカーが実在したとして、志ある半導体愛護団体のメンバー達は彼らを激しく糾弾することだろう。
 そうした慈愛を備えた者がペットロボットを開発すれば、ペットロボットの脳に動物相応の制限をかけるような事は無い筈だ。
 この短い物語には、きっと訪れるだろう未来の憂鬱が描かれている。