どこかにきっと、救いの手がある
- ★★★ Excellent!!!
昨今取り上げられる「いじめ」をテーマにした作品。この作品はそれを小説として書かれた作品ですが、それによってメッセージ性も際だったものとなっています。
視点が変化していくことで、読者がそれぞれの立場からも感情移入できる作品です。
「いじめはいけません」。こんなありふれたフレーズで防ぐことが出来る様なものだったなら、いじめはこんな蔓延っているはずがない。簡単に解決出来る様なものだったなら、ここまで苦しむ人がいるはずがない。
先生がアテにならないことなんてままあることだ。そして、自分がいじめられることが怖いから、周りは手出ししようとしない。次第にそれは暗黙の了解となって同調圧力になっていく。いじめられた側もまた、耐えるために自分の心に蓋をして、自分の周りに防護壁を築こうとする。そして孤立していってしまう……。
でもね、ちょっと待って。どこかに、手を差し伸べてくれる人は必ず居るから。それが学校内にいるとは限らないけれど、あなたを理解してくれる人、味方になってくれる人は間違いなく居るから。
私も含め、読んだ人が誰かを救える存在であれますように。