友達と雑談しながら歩く学校の帰り道は楽しい。この物語は、その当たり前を思い出させてくれる。
“林”という共通の名前で仲良くなった二人は、授業での林いじりをきっかけに、変わってしまった故郷について想いを馳せる。
言葉遊びを通じて、二人の間に共通の世界を作りながら、バカみたいな話や、男子中学生らしく憧れの女性に関しての話を紡ぎつつ、家路につく。
いくつになっても、このときの思い出は忘れがたく、また、読者の心にもある故郷を想起させてくれる。
ビルが生え、コンクリートジャングルと化してしまった都会にも、郷愁を感じられるのだろうか。この二人が大人になったとき、どのように思うのか、とても興味深い。
昔と今は違うけれど、現代の環境に適応した子ども達は元気に生きているものです。これは雑木林がコンクリートジャングルへと変わった武蔵野の、過去から未来へと続く物語なのです。
東京都も広く、全てが都会というわけではありません。
主人公の少年たちが暮らす田無市は田舎も田舎、六本木の住人から見れば小ばかにされてしまうような大田舎でした。でも、少年たちは都会ってスゲーよなぁと憧れつつも、その田舎を愛し、大切に思っているのです。
柄でもなく、日本の将来を託すならこんな少年たちに託したいな…なんて思ってしまいました。
過去を尊重しながらも未来へと続く武蔵野の物語、お時間があれば是非!