妄想
一つ忘れられない経験がある。僕が小学生二年生のころの話だ。
昼休みにクラスメイトの女子とぶつかって、僕は転んでしまった。そのとき肘のあたりをすりむいてしまった。彼女はどうしようと慌てた表情で、僕の肘にできた小さな擦り傷を舐めた。遠慮がちに力の入った舌の先で一回だけ。
あの一瞬がどうしても忘れられなくて、早十数年。僕の性癖――性的嗜好はずいぶんと歪んでしまった。
誰かに食べられる妄想で、どうしようもないほどの興奮を覚えてしまうのだ。
誰かの体内に自分の一部が入る。それがその人のほんの一かけらだけでも構成するのなら――興奮と嫌悪感で夜は頭を濁している。
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